自己免疫

脳神経内科

成人のオプソクローヌス・ミオクローヌス症候群

成人の眼瞼クローヌス・ミオクローヌス症候群 (OMS):眼瞼クローヌス, ミオクローヌス, 運動失調, 行動障害, 睡眠障害などの臨床的特徴を伴う「オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群」という用語は運動失調, 脳症, ミオクローヌスを伴う持続的なオプソクローヌスを指すオプソクローヌスとミオクローヌスは最も特徴的な徴候だが, これらがみられない場合もある最近のfMRIおよびFDG-PET研究では, 小脳深部核(FNおよび扁桃)におけるグルコース代謝の増加が明らかになり, オプソクローヌスの小脳病態機序に関する仮説を裏付けている
てんかん

抗NMDAR脳炎 update 2019 (症候・髄液・脳波・MRI・予後)

最初の2年間で, 12%が再発する髄液:細胞増加 (95%), タンパク上昇 (91%), オリゴクローナルバンド (32%)脳波: diffuse slowing (91%), focal slowing (34%), GRDA (48%), electrographic seizure (61%), extreme delta brush (30%).96%に異常脳波を認めるが, 初回記録では71%で正常な後頭葉リズム脳波の感度は高い (96%) が, 正常な脳波では抗NMDAR脳炎を除外することはできない脳MRI:MRI異常 (55%)側頭葉 (22%), 大脳皮質 (17%), 小脳 (6%), 脳幹 (6%), 基底核 (5%), その他 (脳梁, 視床下部, 脳室周囲, 白質に8%)造影効果 (14%)第1選択療法の開始から4週間で改善が見られなかった221人 (47%) のうち, 第2選択療法を受けた125人 (57%) は, 受けなかった96人(43%)と比較して有意な改善あり抗NMDAR脳炎につながる精神症状 (SEARCH For NMDAR-A)
てんかん

抗NMDAR脳炎 (精神症状の特徴と悪性症候群)

発症時の精神症状は,幻視・幻聴 (n=26, 40%)うつ病 (n=15, 23%)躁病 (n=5, 8%), 急性統合失調感情エピソード (n=15, 23%)摂食障害または依存症 (n=4, 6%) などを認めることがある.悪性症候群の発症もめずらしくない.
てんかん重積状態

ヘルペス脳炎 (髄液細胞数正常・非典型的なMRI所見)

髄液細胞数正常のヘルペス脳炎はめずらしくなさそうです非典型的なMRI所見例も存在します.すべての患者で異常な脳波所見あり.髄液細胞数正常例は22.2%.94.1%に脳MRI検査で異常を認めるが, 非典型例も存在する髄液所見にかかわらず脳炎を疑ったら, まずはアシクロビルは行うべきと考えます.
脳神経内科

自己免疫介在性脳炎の抗体は年齢・性別で異なる

日本では脳炎パネル検査が行えないので, 抗体検査の種類をしぼる必要があります.若年: MOG, NMDAR, GAD65中高年: LGI1, GABAb, CASPR2, ANNA1, GAD65女性: NMDAR, GAD65という傾向を意識すると良いかもしれません.
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自己免疫介在性脳炎の誤診

臨床所見: 緩徐進行性の発症, 多数の併存疾患. 機能性神経疾患, ミトコンドリア病, 正常な神経心理検査.MRI: 正常所見, 信号異常を伴わない進行性の萎縮, 免疫治療にもかかわらず病変がひろがる.髄液: 炎症所見がない.抗体: TPO抗体陽性例, GAD65抗体価低値, LGI1/CASPR2陰性のVGKC陽性例, 血清NMDAR抗体陽性だが髄液NMDAR抗体陰性例, CASPR2抗体価低値, 認定されていない研究室での抗体測定.
てんかん

難治頻回部分発作重積型急性脳炎 (AERRPS)

AERRPS (acute encephalitis with refractory, repetitive partial seizures): FIRESとほぼ同義だが, 自己抗体陽性例などを除いた潜因性 (cryptogenic) FIRESがAERRPSに相当すると考えられている.
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ラスムッセン (Rasmussen) 症候群/脳炎

成人例でも, 焦点発作重積 (epilepsia partialis continua), 脳萎縮進行例では, ラスムッセン脳炎を想起する.小児では大脳半球離断術の適応を考慮する.第二選択薬として, アザチオプリン, リツキシマブの有効性データが多い.
てんかん症候

自己免疫性精神病

新規発症, 亜急性に進行する, カタトニア, ジスキネジア, 顕著な認知機能低下, 意識レベル低下, 新規けいれん発作, 血圧・体温・心拍変動といった自律神経症状は, 自己免疫介在性脳炎も考慮した方がよいかもしれない.カテゴリーB のうち, 少なくとも2つの症状および脳波異常があれば, 抗NMDAR抗体脳炎に注意.
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自己免疫介在性脳炎の慢性期治療はどうする?

海外では, 再発後に長期免疫抑制を検討することが多い, リツキサンを選択する割合が多い, 腫瘍スクリーニングを定期的に行う, 抗体の有無により治療方針を選択することが多い点が, 本邦と異なると考えられました.保険適応の違い, 自己抗体測定も本邦ではハードルが高いため, この結果をすべて当てはめることはできないと考えます. 本邦では測定できない自己抗体も含まれているため, 長期的にPSL維持療法, 再発時にはアザチオプリン併用を選択する, 定期的な腫瘍スクリーニングといった感じでしょうか.自己抗体測定, リツキシマブ, アザチオプリン, MMFの保険適応を期待したいところです.
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自己免疫介在性脳炎の鑑別に髄液検査は有用か?

髄液検査プロファイルは, 自己抗体の種類によって異なる.NMDAR, GABAbでも細胞数5/μl以上は50%程度. GAD, LGI1はほとんど上昇しない.NMDARの細胞数は幅が広い髄液蛋白45 mg/dl以上は, ほとんどの抗体で50%以下OCBは, NMDA, GABAb, GADで陽性率が50%以上LGI1は, 髄液細胞数, 蛋白, オリゴクローナルバンド (OCB) いずれも陰性になりやすい.NMDARは何らかしらの異常を認める髄液細胞数, 蛋白, OCB陰性でも自己免疫介在性脳炎の否定にはならない.
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MRI陰性の自己免疫介在性脳炎

脳MRI検査が陰性の自己免疫介在性脳炎が存在する.脳炎の診断には, 臨床症状, 生化学所見, 脳波検査も含めた総合的な判断が必要である.
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NORSE/FIRESの診断・治療とアクテムラ

造影脳MRI検査は, 禁忌のないすべての患者に対して発症後48時間以内に実施悪性腫瘍スクリーニング (胸部, 骨盤部, 腹部CT) は, 原因不明のNORSE/FIRESの患者に対して実施陰性の場合は, 続いて精巣/卵巣の超音波検査最初の1, 2日間でてんかん重積状態の原因が不明の場合は,ステロイドパルス, IVIg, 血液浄化療法を併用を72時間以内に開始する必要がある.不十分なら7日以内にリツキシマブ, トシリズマブ (アクテムラ) が推奨今はエンドキサンよりもアクテムラの方が主流なのだろうか.確かにエンドキサンよりもアクテムラのほうが扱いやすいか.
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扁桃体腫大の鑑別 (自己免疫介在性)

どのような扁桃体腫大で積極的に自己免疫機序を疑うべきかはまだ明らかではなく, 発作により二次性に腫大する場合や腫瘍を認めることもある.自己免疫介在性脳炎では, FDG-PETはむしろ低下する.扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんは, 精神症状の有無にかかわらず, オリゴクローナルバンド, IgG indexを含めた髄液検査は行った方が良いかもしれない.
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Tissue based assayは自己免疫介在性脳炎の鑑別に役立つか?

自己抗体陰性例でもラット脳組織を用いたTBAはスクリーニングに良いかもしれません間接免疫抗体染色 (indirect immunofluorescence: IIF) ラット脳組織免疫染色 (tissue-based assay: TBA)
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自己免疫介在性脳炎 (診断基準: Lancet 2016)/てんかん発作との鑑別に髄液検査は役立つか?

もともとてんかんと診断されていなく, けいれん発作群発や重積状態で搬送された患者の髄液細胞数が増加していた場合は, 脳炎なども鑑別する必要があるだろう.
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自己免疫性てんかん

てんかん発作発症とともに, 急性に悪化する精神症状を併存している場合には, 自己免疫性てんかんを想起する.髄液検査, 脳MRI検査を行いAPE2 scoreを参考にする.APE2 scoreが4点以上なら, 積極的な免疫治療も考慮する.