抗発作薬

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進行性ミオクローヌスてんかん: 治療

PMEの治療に伝統的に使用されているASMは, VPA, CZP, PB.これらの薬は, 全般発作とミオクローヌスを軽減する可能性がある.有効性が示されている新しい薬は, LEV, TPM, ZNS, PER.PHT, CBZ, LTG, GBPは, ミオクローヌスまたはミオクロニー発作を悪化させる
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フェンフルラミン (フィンテプラ): Lennox-Gastaut症候群

脱力発作に有用と報告されていますが, 全般性強直間代発作にも良さそうです.フェンフルラミンに最も反応した発作サブタイプは, 全般性強直間代発作 (263例中120例 [46%]) フェンフルラミン0.7 mg/kg/日群では45.7%減少フェンフルラミン0.2 mg/kg/日群では58.2%減少治療中に最もよくみられた有害事象は, 食欲低下 (59例 [22%]), 傾眠 (33 例 [13%]), 疲労 (33 例 [13%])弁膜症, 肺動脈性高血圧症なし
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てんかん重積状態に対するフェノバルビタール (ノーベルバール)

成人科ではあまり使用機会はありませんが, すでに他剤ASM服薬患者で, ミダゾラムに抵抗性の場合は選択肢となりうる薬剤です.低血圧, 不整脈, 呼吸抑制に注意が必要ですが, 忍容性や抗発作効果は高いようです.日本神経学会てんかんガイドライン2018ではセカンドラインに含まれています.鎮静作用は少なく, てんかん重積状態においてはロラゼパムと同等かそれ以上の効果があるベンゾジアゼピン抵抗性てんかん重積状態ではバルプロ酸よりも大幅に優れているフェノバルビタールは, 高用量のプロトコルで使用しても忍容性が良好であることが示唆されている.
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抗発作薬の副作用 (精神)

時々, LEV・PER (攻撃性や易怒性), TPM・ZNS (言語障害や記憶障害) が悪さをしていることがあるので調べてみました.気分・精神症状good: VPA, rufinamide, LTG, cannabidiolbad: TPM, LEV, BRV, ZNS, PER, vigabatrine, bromide行動症状good: LTGbad: TPM, LEV, ZNS, PER, bromide, BRV, stiripentol認知障害good: cannabidiol, fenfluramine, LEV?, BRV?, LTG, vigabatrine, rufinamide, LCMbad: TPM, ZNS睡眠good: cannabidiol?, PER, pregabalin, CLBbad: LTG
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バルプロ酸とカルニチン欠乏

重症心身障害や高齢者にバルプロ酸を使用している場合に, カルニチンのチェックを忘れてしまいがちなのでまとめました.他にも, 先天代謝異常症患者, 腹膜透析や血液透析, 経管栄養, ピボキシル基含有抗菌薬投与患者 (メイアクト, フロモックスなど), 抗がん剤, 肝硬変, 筋ジストロフィー, ALSなどでもリスクが増します.
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てんかんにアセタゾラミドは有効?

アセタゾラミド (ダイアモックス) は炭酸脱水酵素阻害剤ですが, ときどき抗発作薬として有用と聞くことがあります.そのエビデンスについて調べてみました.酸感知イオンチャネルに反応することで, NMDAやGABAなどの神経伝達物質や受容体に影響し, 神経細胞の活動を変化させる.このことが, 神経炎症の調整と, HFOを減衰させることで, 発作閾値が上昇すると考えられ
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バルプロ酸 (VPA) とラモトリギン (LTG) の併用

LTG, VPA単剤療法で効果がいまいちな場合は, 併用療法を試してみても良いかもしれない.
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アメリカではどの抗発作薬を好む?

アメリカでは, ミオクロニー, 肝疾患以外は, ほぼすべてでLTGが好まれている.日本の脳神経内科, 脳神経外科は, LVE, LCMを選択することが多い印象ですが, LTGも良いかもしれません.
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難治性特発性全般てんかんの抗発作薬はどうする?

なかなか解釈が難しいですが, 妊娠可能な女性にはLEV, LTGを選択し, 不十分なら併用することも多いのが実情だと思います.この論文では, IGEにLTGの効果は低い結果でしたが, LTGの漸増期間を考えると解釈に注意が必要です.妊婦に対するLCMの安全性が確立されれば, LCMもありかもしれません.IGE全体ではVPAが最も有効という結果でした. 妊娠を考慮しなければ, まずVPAが選択肢となりそうです.時々, 難治性JMEが問題となりますが, LEV, LTG, VPAでもダメそうなら, PERも良さそうです. 次点として, TPM, LCMといったところでしょうか.
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クロバザム (マイスタン) の耐性と効果

LEV, LTG, LCM, PERといったASMの合理的併用をしても, 難治に経過することもあります.CLBはベンゾジアゼピン系のため, 眠気, 耐性, 依存が懸念点ですが, 耐性を形成せずに長期間発作コントロールが可能なこともあることがわかりました.クロバザムの適応は幅広く, 比較的安全である.約50%の患者に非常に有効だが, 残りの半数には忍容性が低いか, 効果がない印象がある.クロバザムは, 他のベンゾジアゼピンよりも鎮静作用が少なく, 抗不安作用があり, 耐性が生じにくい.クロバザムは, 第一選択薬群でコントロールできない場合や, 忍容性が低い場合に検討可能な薬剤である.
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ブリバラセタム vs レベチラセタム

LEVとBRVの比較対照試験はまだないが, BRVの方が忍容性に優れる. 発作に対する効果の優劣はまだ不明だが, BRVに切りかえて発作頻度が改善した報告も割とありそう.
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ラコサミドは妊婦・胎児に安全か?

現時点では, 主要な先天奇形の頻度は低いようですがさらなるエビデンスの蓄積が必要です.多剤併用になるとリスクは若干上がるかもしれません. なるべく多剤併用にならないようにしたいですが, 難治性てんかんの場合はままならないこともあります.
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Lennox-Gastaut症候群と成人例

成人に移行したLGSは基礎波が正常なこともある.小児期にLGSがあったかわからない症例では, slow spike and wave, fast rhythmを全般性に認める, 強直発作などを含むdrop attacks, 非定型欠神発作, ミオクロニー発作, 焦点発作, 強直間代発作などをもつ場合には, LGSに準じた治療 (VPA, CLB, LTG, TPMといったブロードスペクトラム) を行うことが良いかもしれない.
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全般てんかんにブリバラセタムは有効か?

LEVで効果を認めなかった, もしくは忍容性が悪かったLEV nonresponder群に対しても, 66%の患者に50%以上の発作頻度減少の効果を認めた.LEVで効果を認めなかったGGEも, BRVを試しても良いかもしれない.ただ, BRVに切り替えて悪くなった例もあるので注意が必要です.
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薬疹発症例にラモトリギン再投与は安全か?

LTG開始から8週間以内の漸増スピードが, 薬疹発症に関与すると報告されている.LTGを再投与する場合には, 2.5 mgもしくは5 mgから再投与を開始し, 2週間毎に5 mgずつ漸増することを考慮しても良いかもしれない.LTG初回投与で粘膜疹を伴う薬疹だった場合や, 薬疹発症から4週間以内の再投与は控えた方が良いだろう.軽度薬疹だった場合は, 再投与の安全性は高そう.