小児

てんかん

発達性/てんかん性脳症・進行性ミオクローヌスてんかん

PMEという症候群は, 背景となる不均質なグループの素因性病因に起因するまれな症候群である.(1)ミオクローヌス(2)進行性の運動障害と認知障害(3)感覚と小脳の徴候(4)背景脳波活動の異常な徐波化が(5)それまで発達や認知機能が正常であった個体に現れることで認識される.光過敏性はPMEの多くの病因に共通する特徴である.家族歴があることがあり,ほとんどの場合, 常染色体潜性だが, 弧発例もある.有病率は地域によって異なり,孤立した地域や血族結婚を好む文化圏で高い.したがって,患者の地理的および民族的背景は,背景にある遺伝的原因を診断する上で重要な情報となる.PME の大部分を占めるのは, ウンフェルリヒト・ルントボルク病 (Unverricht-Lundborg disease,ULD),Lafora (ラフォラ) 病神経セロイドリポフスチン症 (neuronal ceroidlipofuscinosis, NCL), ミコンドリア病 (MERRF, POLG関連疾患, MELAS), シアリドーシスである.
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眼瞼ミオクロニーを伴うてんかん (Epilepsy with Eyelid Myoclonia)

以前はJeavons症候群と知られていた.頻回の眼瞼ミオクロニー, 欠伸を伴うあるいは伴わない, 閉眼や光刺激で誘発, の3つを特徴眼瞼ミオクロニーは, しばしば覚醒直後に最も顕著である顕著に光で誘発される眼瞼ミオクロニー (欠神は伴うことも伴わないこともある) と, 欠神発作やミオクロニー発作をもつ一群がいるこの一群は,発作起始時に顔を光源となる太陽に向けることがあり,日光を求める行動から以前は「ひまわり症候群(sunflower syndrome)」「顕著な光誘発を伴うEEM」と呼ぶことができる.
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ミオクロニー欠神発作を伴うてんかん/ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん

ミオクロニー欠神発作を伴うてんかん: 日単位のミオクロニー欠神発作を呈する. 欠神発作は, 3Hzの律動的な上肢のれん縮を伴い, 発作中の腕の強直性外転と重なる (歯車の動きのように見える). 本症は, IGEと共通の素因性病因を持つと推定.ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん: 発作の活動期 (嵐期) には発達の停滞, あるいは退行を示し, 発作がコントロールされると改善する. しばしばわずかな発声を伴い近位筋に影響を及ぼす短いミオクロニーれん縮と, 引き続く非常に短い脱力成分が特徴. 全般性2-6Hz棘徐波, 多棘徐波複合からなる発作間欠時異常が, 2-6秒間のバーストで発生することが多い
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HHE症候群 (片側けいれん・片麻痺・てんかん症候群)

4歳未満の小児の発熱性疾患に伴って発生する焦点間代てんかん重積状態てんかん重積状態発症時の神経画像検査では, 患側半球の浮腫性腫脹を認める.急性期を過ぎると大脳半球が萎縮し, その後, 薬剤抵抗性の焦点起始発作が出現する.焦点てんかん重積状態の後, 数か月から数年, 発作のない期間がある.
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フェンフルラミン (フィンテプラ): Lennox-Gastaut症候群

脱力発作に有用と報告されていますが, 全般性強直間代発作にも良さそうです.フェンフルラミンに最も反応した発作サブタイプは, 全般性強直間代発作 (263例中120例 [46%]) フェンフルラミン0.7 mg/kg/日群では45.7%減少フェンフルラミン0.2 mg/kg/日群では58.2%減少治療中に最もよくみられた有害事象は, 食欲低下 (59例 [22%]), 傾眠 (33 例 [13%]), 疲労 (33 例 [13%])弁膜症, 肺動脈性高血圧症なし
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バルプロ酸とカルニチン欠乏

重症心身障害や高齢者にバルプロ酸を使用している場合に, カルニチンのチェックを忘れてしまいがちなのでまとめました.他にも, 先天代謝異常症患者, 腹膜透析や血液透析, 経管栄養, ピボキシル基含有抗菌薬投与患者 (メイアクト, フロモックスなど), 抗がん剤, 肝硬変, 筋ジストロフィー, ALSなどでもリスクが増します.
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SeLEAS (自律神経発作/Panayiotopoulos症候群) とSeLECTS (中心側頭部棘波/BECT)

SeLEASは, 以前Panayiotopoulos 症候群や早期発症良性後頭葉てんかんとして知られた. 幼児期に発症. しばしば遷延する焦点自律神経発作を特徴さまざまな部位の高振幅 (200μV超) な焦点性棘波, 睡眠で活性化. 多くの患者で発作は少なく, 25%で発作は一回のみ. てんかんは自然終息性で, 通常は発症から数年以内に寛解. 平均罹患期間は約3年.SeLECTS: 自然終息性てんかん症候群. 最も頻度の高いSeLFE. 発作は短時間であることが多い. 典型的には咽頭・舌および片側顔面下部の焦点間代または強直活動を伴う. 眠気や睡眠で活性化される高振幅な中心側頭部の鋭徐波複合. 発作は思春期までに停止する. 通常4〜10歳. 熱性けいれんの既往が5〜15%. 焦点起始発作の特徴的症候:(i) 舌, 口唇, 歯肉および頬内側の一側性のしびれまたは知覚異常を伴う体性感覚症状(ii) 口顔面の運動徴候(iii) 発語停止(iv) 流涎非定型欠神発作, 焦点脱力発作, 陰性ミオクローヌスの発生は, EE-SWASへの進展を示唆眠気や睡眠で活性化する高振幅 (頂底間200μV超) な中心側頭部鋭徐波複合は診断に必須
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DEE-SWASとEE-SWAS (睡眠時棘徐波活性化)

睡眠時棘徐波活性化を示す発達性てんかん性脳症と睡眠時棘徐波活性化を示すてんかん性脳症(developmental and epileptic encephalopathy with SWAS and epileptic encephalopathy with SWAS)DEE-SWASおよびEE-SWASは, 睡眠時電気的てんかん重積状態 (ESES), 退行が特徴的EE-SWASは, 発症前の発達が正常で, ノンレム睡眠中の緩徐な (1.5-2Hz) 棘徐波複合の活性化DEE-SWASは, 既存の神経発達症を持つ患者に, 睡眠中の棘徐波複合の顕著な活性化SeLECTsやSeLEASなどの特定の焦点てんかん症候群や, 他の構造的焦点てんかんは, 一過性または長期的にEE-SWAS に進展する可能性がある.構造的病変がある患者でも, 臨床発作は通常思春期頃に寛解する脳波上のSWASパターンもまた, 通常は青年期までに消失する
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Dravet (ドラベ) 症候群

正常乳児の生後12か月以前に, 発熱 (特に微熱) を伴う遷延性焦点間代(片側間代)発作があれば強く疑う.焦点間代 (片側間代) 発作がしばしば左右交代性に起こる特徴的なかがみ歩行 (crouch gait) などの歩行異常てんかん重積状態は5歳以前に多く, 特に体調不良や発熱に伴って, 成人期にも出現することがあるナトリウムチャネル阻害剤の使用により増悪するIEDsは, しばしば焦点性, 多焦点性, 全般性ドラベ症候群の診断には, 典型的な臨床的特徴が必要であり, 遺伝子バリアントのみでは判断できない.遺伝子バリアントがなくとも本症候群の臨床診断を除外すべきではない乳児期経過が不明な成人は, 遺伝子診断を行う.
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早期乳児発達性てんかん性脳症 (EIDEE)

生後3ヶ月以内にてんかんを発症姿勢, 緊張, 運動など神経学的診察所見の異常時間経過とともに明らかになる中等度から重度の発達障害バーストサプレッションパターン, びまん性徐波化, 多焦点性放電などの発作間欠期脳波の異常神経画像, 代謝, 遺伝学的検査により, ~80%の症例で正確な病因の分類が可能
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若年ミオクロニーてんかん (JME) と全般強直間代発作のみを示すてんかん (GTCA)

もともとは, 覚醒時大発作てんかんと呼ばれていた患者は, さまざまな頻度のGTCSを有する.通常は10代あるいは20代前半に発症発作は, 典型的には睡眠不足によって誘発脳波は, 3-5.5Hzの全般性の棘徐波または多棘徐波放電を示す.寛解率は低く, 生涯にわたる治療が必要なことが多い
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小児欠神てんかん (CAE) と若年欠神てんかん (JAE)

過呼吸が3分間正しく施行されても全般性棘徐波がみられない場合, 欠神発作の可能性は低い.欠神発作中に, 自動症, かすかなミオクローヌスを伴うこともある.JAEでは, ESMはGTCSを生じる可能性が高いため, 初期の単剤療法としては推奨されない.10歳以上で発症した場合の鑑別は,欠神発作の頻度 (CAE>JAE), GTCSや欠神重積状態のリスク(JAE>CAE), spike and waveの規則性 (CAE>JAE), 周波数の多さ (JAE>CAE)教科書的な3Hz spike and waveはCAE, GTCAのような要素が多ければJAEというイメージでしょうか
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反射てんかん (reflex epilepsy)

真の反射てんかんと反射発作を鑑別するには病歴が大事.IGE, 症候性てんかん, 特発性光過敏性後頭葉てんかん, その他の視覚過敏性てんかん, 一次読書てんかん, 驚愕てんかんなどとの鑑別が必要そうです.
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難治頻回部分発作重積型急性脳炎 (AERRPS)

AERRPS (acute encephalitis with refractory, repetitive partial seizures): FIRESとほぼ同義だが, 自己抗体陽性例などを除いた潜因性 (cryptogenic) FIRESがAERRPSに相当すると考えられている.
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てんかん症候群 メモ

12歳以上の青年期で発症しうるてんかん症候群です.つまり, 成人の脳神経内科でも遭遇する可能性があります. 全般てんかん症候群, 海馬硬化症, 睡眠関連運動亢進てんかん以外はかなり稀ですが.
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ラスムッセン (Rasmussen) 症候群/脳炎

成人例でも, 焦点発作重積 (epilepsia partialis continua), 脳萎縮進行例では, ラスムッセン脳炎を想起する.小児では大脳半球離断術の適応を考慮する.第二選択薬として, アザチオプリン, リツキシマブの有効性データが多い.
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後頭葉てんかん (症候性・COVE・POLE)

後頭葉てんかんは発作後に頭痛を伴うこともあり, 片頭痛との鑑別が困難になる. 一次視覚野からの発作は, 多色で円形, 増殖しながら大きくなることが特徴とされるため, 片頭痛の視覚前兆とはやや異なる.症候性後頭葉てんかんの場合は, IEDsが後頭部ではなく, 後側頭部に限局することが多く注意が必要である.小児期から青年期に発症した場合は, COVEとPOLEも想起する.
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NCSEと環状20番染色体症候群

症状の軽いNCSEの成人患者で, 発達も正常か軽度遅れ, 脳MRI正常, 前頭葉てんかん発作, 徐波群発を認める症例は, ring 20を想起して染色体検査を行う.モザイクの割合により予後や重症度は様々である.
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Lennox-Gastaut症候群と成人例

成人に移行したLGSは基礎波が正常なこともある.小児期にLGSがあったかわからない症例では, slow spike and wave, fast rhythmを全般性に認める, 強直発作などを含むdrop attacks, 非定型欠神発作, ミオクロニー発作, 焦点発作, 強直間代発作などをもつ場合には, LGSに準じた治療 (VPA, CLB, LTG, TPMといったブロードスペクトラム) を行うことが良いかもしれない.
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乳児てんかん性スパズム症候群 (IESS) とWest症候群

乳児にてんかん性スパズムを疑う発作があったら, 迅速に検査をすすめ治療を開始することと, 構造的要因にも注意をはらうべしということでしょうか.
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Perioral myoclonia with absence (PMA) とは

EEGは全般てんかんで, 頻回に口だけにmyoclonic seizureを認めた症例がいたので調べてみました. 小児期発症の欠神発作, 口周囲のミオクロニー発作, 欠神発作重積をみたらPMAを想起する必要がありそうです.