てんかん重積状態

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アルコール依存症患者における局所性NCSE(SESA症候群)

SESA症候群は, 慢性アルコール依存症患者における局所性NCSEとされているが, 専門家委員会による検証や合意には至っていない反復する焦点性非けいれん性発作の存在と, ictal-interictal continuum (IIC) との, 動的な臨床と脳波異常の状態.慢性微小血管虚血性病変を伴う状態において, アルコール乱用が関与すると考えられているアルコール離脱症候群は振戦せん妄とは異なるため, SESA症候群という用語が誕生した.
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持続脳波モニタリングの適応 (critical care EEG)

深部焦点の発作を特定できない場合がある単純部分発作の約21%のみが頭皮EEGで変化を示すイベント中に脳波変化がないことは, 発作を完全に否定できるわけではない. CCEEGの長さは, 少なくとも24時間の記録が推奨されるが, 状況により異なる通常30~60 分のEEG 記録では, 最終的に発作が記録される患者のうち, 45~58%のみで非けいれん発作が特定される非けいれん発作の約80~95%は, 24~48時間以内に特定できる昏睡, 周期性放電がある患者, 持続鎮静されている患者では, 非けいれん発作が遅れて発生する可能性がある.より長期間 (48時間以上) が必要になる場合があるEEGの最初2時間以内にてんかん性放電がない患者では, その後72時間以内に発作を起こす確率は5%未満
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脳波 (Ictal-Interictal Continuum/Electrographic Seizures)

【Ictal-Interictal Continuum (IIC)】周期性発射もしくは棘徐波が (>1.0 Hz, ≦2.5 Hz) 10秒以上持続, or周期性発射もしくは棘徐波が (>0.5 Hz, ≦1 Hz) 10秒以上持続し, plusもしくはfluctuationを伴う, or片側性のrhythmic delta activityが (>1 Hz), 少なくとも10秒以上持続し, plusもしくはfluctuationを伴う
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NCSE (脳波検査をすぐにできないとき)

NCSEを疑う所見: けいれん性てんかん重積状態からの移行, 意識減損を伴う運動発作を繰り返す, 意識が変容する, 眼振, 瞳孔異常, 瞬目, 眼球偏位, わずかな運動症状, 顔面ミオクローヌスNCSEのrisk factor: 急性症候性の異常, 急性の代謝障害や敗血症, 高齢, 抗発作薬怠薬, 精神運動発達障害どのタイプのNCSEか判断する (NCSE in comaなど)治療による有害リスクと治療をしないことによるリスクを天秤にかけるけいれん性てんかん重積状態後からのNCSE, NCSE in comaではaggressiveな治療を必要とするNCSEのサブタイプを判断し, aggressiveな治療を行うか判断する脳波の解釈は, 臨床病歴を通して経験豊富な臨床医が行うべきであるNCSEを疑う症例は, EEG検査を行うまで, 治療を遅らせるべきではない.治療を行うことのリスクと行わないことのリスクを判断する必要がある
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ヘルペス脳炎 (髄液細胞数正常・非典型的なMRI所見)

髄液細胞数正常のヘルペス脳炎はめずらしくなさそうです非典型的なMRI所見例も存在します.すべての患者で異常な脳波所見あり.髄液細胞数正常例は22.2%.94.1%に脳MRI検査で異常を認めるが, 非典型例も存在する髄液所見にかかわらず脳炎を疑ったら, まずはアシクロビルは行うべきと考えます.
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てんかん重積状態に対するフェノバルビタール (ノーベルバール)

成人科ではあまり使用機会はありませんが, すでに他剤ASM服薬患者で, ミダゾラムに抵抗性の場合は選択肢となりうる薬剤です.低血圧, 不整脈, 呼吸抑制に注意が必要ですが, 忍容性や抗発作効果は高いようです.日本神経学会てんかんガイドライン2018ではセカンドラインに含まれています.鎮静作用は少なく, てんかん重積状態においてはロラゼパムと同等かそれ以上の効果があるベンゾジアゼピン抵抗性てんかん重積状態ではバルプロ酸よりも大幅に優れているフェノバルビタールは, 高用量のプロトコルで使用しても忍容性が良好であることが示唆されている.
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発作リスクが高い脳波パターン (critical care EEG)

LPD, LRDA, GPD は発作と関連したが, GRDAは関連しなかったLPDはplusの有無にかかわらず, すべての周波数で発作と関連LRDA, GPDは, 1.5Hz以上の場合に発作と関連
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(超) 難治性てんかん重積状態

超難治性の場合は, フェノバール, ロラゼパムを使いながら, 鎮静剤を漸減することも良いかもしれない.その他の抗発作薬は, 日本ではLEV, LCM, PERが好まれますが, VPAやTPMといったブロードスペクトラムも良いかもしれない.
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Critical Care EEG 2021 (ACNS)

【Electrographic Seizures (ESz)】A) てんかん性放電が平均 > 2.5 Hzが10秒以上持続 (10秒間に>25回のてんかん性放電), orB) パターンによらず, evolutionを伴い10秒以上持続evolutionを満たすには, 少なくとも2つの異なる電極への広がりが必要【Electrographic Status Epilepticus (ESE)】ESzがA) 10分以上, or B) 60分記録のうち合計20%以上持続を認める場合【Electroclinical Seizure (ECSz)】EEGパターンによらずA) 脳波と臨床所見がtime-lockedに関連する, orB) 静注抗発作薬により脳波と臨床所見が改善する【Electroclinical Status Epilepticus (ECSE)】ECSzがA) 10分以上持続, orB) 60分記録のうち合計20%以上持続, orC) 全身けいれん発作が5分以上持続【Brief Potentially Ictal Rhythmic Discharges (BIRDs)】焦点もしくは全般性律動性活動が >4 Hz (少なくとも6波形が規則的), ≧0.5秒, <10秒続く(ESzの場合は10秒以上持続)さらに, A, B, Cのいずれかを伴うDefinite:A. Evolution ("evolving BIRDs"), orB. もともとてんかんがある患者で, 同様のIEDsや発作波形であるPossible:C. 鋭く反転するが, A, Bを満たさない
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Critical Care EEG 2021 (ACNS) EEG sample

Critical Care EEG 2021 (ACNS) の脳波サンプルです.
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難治頻回部分発作重積型急性脳炎 (AERRPS)

AERRPS (acute encephalitis with refractory, repetitive partial seizures): FIRESとほぼ同義だが, 自己抗体陽性例などを除いた潜因性 (cryptogenic) FIRESがAERRPSに相当すると考えられている.
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NCSEと環状20番染色体症候群

症状の軽いNCSEの成人患者で, 発達も正常か軽度遅れ, 脳MRI正常, 前頭葉てんかん発作, 徐波群発を認める症例は, ring 20を想起して染色体検査を行う.モザイクの割合により予後や重症度は様々である.
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てんかん重積状態プロトコール (アメリカてんかん学会)

アメリカはVPA静注製剤があるので, VPAがセカンドラインに含まれている. LEVは日本よりもかなり多く使用する. 体重50 kg程度でもLEV 3000 mgと高用量だが, 日本人にもその量で適用してもよいかはわからない.
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妊娠中のてんかん重積状態

私はまだ妊婦のてんかん重積状態を経験したことはありませんが, 万が一遭遇したら, セルシン・ホリゾンなどのジアゼパムもしくはミダゾラムをIVしながら, レベチラセタムを準備.AIUEOTIPSの対応, MRI (MRV, SWI or T2*も含めて)での精査, 子癇を考慮してマグネシウム投与, 血圧が高ければ降圧, 最悪の事態では32週を超えていればterminationといったところでしょうか.
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NORSE/FIRESの診断・治療とアクテムラ

造影脳MRI検査は, 禁忌のないすべての患者に対して発症後48時間以内に実施悪性腫瘍スクリーニング (胸部, 骨盤部, 腹部CT) は, 原因不明のNORSE/FIRESの患者に対して実施陰性の場合は, 続いて精巣/卵巣の超音波検査最初の1, 2日間でてんかん重積状態の原因が不明の場合は,ステロイドパルス, IVIg, 血液浄化療法を併用を72時間以内に開始する必要がある.不十分なら7日以内にリツキシマブ, トシリズマブ (アクテムラ) が推奨今はエンドキサンよりもアクテムラの方が主流なのだろうか.確かにエンドキサンよりもアクテムラのほうが扱いやすいか.