A Treatment Approach to Catamenial Epilepsy. Curr Treat Options Neurol. 2016
アセタゾラミドやクロバザムなど断続的に使用される介入については, 大規模試験が不足
プロゲステロン補充は, 一部に有益な効果が認められた
月経随伴性てんかんに対する間欠療法を行う前に, 月経開始のタイミングと, 発作の正確なパターンを記録する必要がある

C1パターンが強い場合は, 天然プロゲステロンの使用が考慮される場合がある
C2とC3パターンは, アセタゾラミド, クロバザムといったベンゾジアゼピン系を短期的に使用や, 間欠的に抗発作薬を増量を考慮
間欠的アプローチが奏効しなかった患者には, MPAや経口避妊薬を用いた継続的な月経抑制療法が適切となる場合がある.
長期にわたる月経停止の忍容性と, 骨密度低下のリスクについて注意が必要
月経不順の場合は, 間欠的アプローチの対象とならない場合がある

正常な月経周期と無排卵周期(黄体不十分期)におけるホルモン変動
上グラフ: C1 (月経中), C2 (排卵中)
下グラフ: C3 (黄体機能不全期: 卵胞期を除くすべての時期)
黄体不十分期では, プロゲステロンが不足するため排卵が起こらず, エストロゲンは高いまま
月経前にエストロゲンは減少
したがって, 黄体不十分期ではエストラジオール/プロゲステロン比が高くなる
【メカニズム】
ホルモンとGABAa受容体などとの相互作用による影響が示唆されている.
プロゲステロンの抗発作作用とエストロゲンの発作誘発作用の変動に関連
月経周期てんかんの発作のクラスター化
定義: 月経周期の他の日に比べて発作頻度が 2 倍に増加
月経周辺期 (C1パターン): 月経周期 (-3日目から+3日目), プロゲステロンの急速な減少
排卵前後期 (C2パターン): 排卵期 (10日目から-13日目), エストロゲンの急激な上昇
不十分な黄体期周期 (C3パターン): 排卵, 黄体期, 月経開始を含む月経前の14日間に発作頻度が 2 倍に増加, エストラジオール/プロゲステロン比
【ホルモン療法】
天然プロゲステロン補充
C1パターンに効果を認める研究あり.
メドロキシプロゲステロン酢酸塩 (MPA) などの合成プロゲステロン
避妊薬として広く使用されており, 排卵を抑制することで作用
19人のうち11人が無月経になり, そのうち7人が1か月あたりの発作回数が39%減少
MPAには骨密度低下のリスクに関するFDAの警告があり, 使用開始後2年間で最大5%の低下が見られる
ゴナドトロピン放出ホルモン (GnRH) 類似体
月経およびホルモン変動を抑制
10人のつい3人は発作が消失し, 4人は発作頻度が最大50%減少
【非ホルモン療法】
アセタゾラミド
以前から月経周期てんかんの治療に使用されているが, その有効性を裏付ける大規模なランダム化研究はない
後ろ向き研究では, 40%が発作頻度減少, 30%が重症度減少
クロバザム
二重盲検クロスオーバー試験: 20~30mg
18人のうち, 8人で発作頻度が50%以上減少
経口避妊薬
ホルモンの変動を調節することで発作頻度を減らせる可能性がある
抗発作薬を一時的に増量
患者のカレンダーに基づいて発作パターンを予測できる場合は, 抗発作薬を一時的に25~50%増量することが有効な場合がある
[Navis A, Harden C. A Treatment Approach to Catamenial Epilepsy. Curr Treat Options Neurol. 2016;18(7):30. doi:10.1007/s11940-016-0413-6]
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