最近, 眠りがけに体中がぴくぴくして困るという方がいました.
周期性四肢運動障害という睡眠関連障害があるようですね.
Restless Legs Syndrome and Other Movement Disorders of Sleep-Treatment Update. Curr Treat Options Neurol. 2018
レストレスレッグス症候群 (RLS), レム睡眠行動障害 (RBD), 周期性四肢運動障害 (PLMD) の治療レビュー
【むずむず脚症候群(RLS)】
典型的には, ふくらはぎや太ももの不快感とともに動きたいという衝動
夕方から夜間の活動不足によって促進され, 脚を動かすことで軽減されるため, 休息や睡眠が妨げられる
RLSの病理学的メカニズムはほとんどわかっていない.

RLSに対する薬物治療の選択肢の概要
【ドパミン】
RLSにおけるドパミン作動薬療法の主な限界, augmentation (増強) と呼ばれる副作用あり
ドパミン作動薬治療中に治療開始前の症状と比較して, RLSの自覚症状が再発したり, より激しく現れたり, 一日のうちのより早い時間に現れたり, 体の他の部位に広がったりする
最も高いリスクはレボドパであり, 推定 27.1%の患者にみられる
経口ドパミン作動薬では, その割合は低いが6%に認める.
ロチゴチンは経口ドパミン作動薬よりもわずかに低い (4%)
増強の発生を防ぐために, α2δリガンド (プレガバリン, ガバペンチン)などが考慮される場合がある
プラミペキソール:
D3受容体選択性ドパミン作動薬
忍容性は高く, 臨床試験で報告された最も一般的な副作用は頭痛, 吐き気, 疲労
PLMD合併にも効果的
有効性は大規模なランダム化臨床試験によって実証.
0.125〜0.75 mg/日でプラミペキソールを最大12週間投与した場合, プラセボよりも優れた.
うつ病や不安などの併存する精神症状をターゲットにする場合にも有益である可能性があるが, データは乏しい
ロピニロール:
受容体はプラミペキソールと類似
D3受容体への親和性はわずかに低いが, 5-HT 1A受容体への結合親和性は高い
臨床試験では, 0.25~4.0 mg/日のロピニロールは, RLS症状の抑制に有効であることが実証
PLMD合併にも効果あり.
ロピニロールは睡眠ポリグラフィー研究において睡眠パラメータを改善することが示されている
ロチゴチン:
D2およびD3受容体に加えて, D1およびD5ドパミン受容体への親和性が高い
6か月間の二重盲検ランダム化試験では、ロチゴチンは1~3 mg/日の用量で中等度から重度のRLSの治療に有効
レボドパ:
RLSの治療において断続的に使用することのみ推奨
【ガバペンチノイド】
ガバペンチン (ガバペン):
ガバペンチンエナカルビルは, 北米と日本の両集団において, 600~1200mg/日の用量で最大12週間にわたりRLSの治療に有効であることが証明されている
プレガバリン (リリカ):
プレガバリン 300 mg/日, プラミペキソール 0.25 mgおよび0.5 mg/日, プラセボと比較
治療12週間でプレガバリンはプラセボよりも有効性が高く, プラミペキソールの両用量と同等
52週間の追跡調査では, プラミペキソール 0.5 mgと比較して有意に低いaugmentationの副作用 (2.1% vs. 7.7%. p = 0.001)
睡眠の質の改善においても, プレガバリンはプラミペキソールよりも優れている
副作用の総発生率はプラミペキソールと同程度
同様の有効性と増強リスクの低さ, 最近の治療ガイドラインではガバペンチノイドを第一選択治療として推奨
【オピオイド】
ヨーロッパのいくつかの国で, 12週間のランダム化二重盲検対照試験と40週間のオープンラベル延長試験
1日2回 5.0 mg/2.5 mgから40 mg/20 mg (オキシコドン/ナロキソン) の用量で, プラセボよりも重症度を有意に軽減
オキシコドン-ナロキソンは, 重度のRLSの治療選択肢としてのみ推奨
【鉄剤】
鉄欠乏性貧血の患者におけるRLSの有病率は高く, 患者の最大23.9%
黒質の鉄レベルが関与
【レム睡眠行動障害】
レム睡眠中の筋弛緩の欠如と複雑な夜間の運動行動として現れる
異常で時には暴力的な行動は, 夢の演技と解釈されることがある
有病率は男性と高齢者で高い
メラトニンとクロナゼパムがRBDの治療に同等に効果的
メラトニンの方がクロナゼパムよりも忍容性が高い
【周期性四肢運動障害】
脚の動きは, 皮質と自律神経の両方の覚醒に関連することが多い.
PLMDはポリソムノグラフィーで診断され, 片方または両方の前脛骨筋のEMGが記録される
この障害は, 日中の主観的な症状を特徴とするRLSと異なる
RLS治療薬のほとんどはPLMDの抑制にも効果がある
プレガバリンは, プラミペキソールと同等の効果で低下させることが示されている
[Salminen AV, Winkelmann J. Restless Legs Syndrome and Other Movement Disorders of Sleep-Treatment Update. Curr Treat Options Neurol. 2018 Nov 9;20(12):55. doi: 10.1007/s11940-018-0540-3. PMID: 30411165.]
【まとめ】
augmentationの副作用の観点から, ガバペンチン エナカルビルやプレガバリンなどのガバペンチノイドが主流となるかもしれません.
また, 睡眠改善効果にも期待できそうです.
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