subtotal hemispherotomy (中心前後回を温存する半球亜全離断術)

“Subtotal hemispherotomy for intractable lesional hemispheric epilepsy without hemiparesis in children.” Epilepsy research vol. 185 (2022)

subtotal hemispherotomy (感覚運動皮質を残した半球離断) を受けた, 片麻痺のない20人の小児を後ろ向きに分析

【abstract】

発作発症時の平均年齢: 3.2±2.8歳

手術時の平均年齢: 7.5±4.4歳

平均追跡期間: 3.5±2.1歳

すべての小児に半球病変あり

最終追跡評価では, 小児の75%が発作のない状態を維持

単変量解析では, 離断後の中心皮質におけるてんかん様放電の存在は, 発作転帰の予後不良因子であることが明らかになった.

中心弁蓋および島の離断は, 手術後の運動機能の予後不良因子だった.

片麻痺のない小児に, subtotal hemispherotomyを実施することで良好な発作転帰が得られた.

中心弁蓋と島の分離により, 運動機能障害の可能性が高まる可能性がある

【introduction】
術前に対側片麻痺がある場合, 半球切除または半球離断が適応となり, 手術の結果は一般に良好である.

片麻痺のない患者に, 錐体路を含む中心前・中心後回を温存するsubtotal hemispherotomyが報告されている.

出血, 術後空洞などの合併症, 脳ヘモジデローシスの発生率が大幅に減少する可能性がある

1歳4か月でウイルス性脳炎例

MRI: 右前頭-頭頂-側頭領域に脳軟化症

PET: ローランド領域の構造と代謝が正常

発作間欠期脳波: 全般性棘徐波

発作時脳波: 全般性低電圧高速活動

TPO切断, 前頭切断, 脳梁切断, 中心蓋および島切断

白い矢印は中心蓋切断

【病因】

ウイルス性脳炎 6例, 皮質発達異常 6例, ビタミンK欠乏性出血 4例, 低酸素性虚血性脳症 2例, パリー・ロンバーグ症候群 1例, 低血糖性脳障害 1例

【発作予後因子】
発作の結果:

クラス1 (n = 15, 75%), クラス4 (n = 3), クラス5 (n = 2)

術後の頭皮EEG により, 4 人の子供に同側ローランド領域に起因する発作あり.

術中ECoGで, ローランド領域てんかん性放電は, 発作転帰不良を示した (P < 0.05)

発作の予後因子

【機能的転帰の予後因子】
術後の一過性運動障害は15人 (75%) で観察

9人は1~2週間以内に完全に回復

永久運動障害は6 人の患者で観察 (2人: 片側上肢, 4人: 片側上下肢)

術後の言語機能障害の悪化なし

中心蓋と島の分離は機能的転帰不良と有意に相関 (P<0.05)

機能的転帰の予後因子

【discussion】

術前に, 反対側の運動機能が良好であることを確認.

そうでない場合, 半球切断術の方が発作の抑制に効果的.

良好な運動機能は, 反対側のローランド領域が, てんかんの影響をほとんど受けていないことを示す

ローランド領域の比較的正常なPET所見は, 良い適応である.

子供が成長するにつれて、脳の機能再編成能力は低下するため, 3歳以上の子供に対してはsubtotalを優先的に検討した.

ECoGでローランド領野てんかん放電は, 発作の転帰があまり良くないことを示した.

術後の発作はすべて部分単純発作で, 術前の発作に比べて大幅に軽減された.

[Liu, Chang et al. “Subtotal hemispherotomy for intractable lesional hemispheric epilepsy without hemiparesis in children.” Epilepsy research vol. 185 (2022): 106973. doi:10.1016/j.eplepsyres.2022.106973]

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