“Update on opsoclonus-myoclonus syndrome in adults.” Journal of neurology (2019)
成人の眼瞼クローヌス・ミオクローヌス症候群 (OMS):
眼瞼クローヌス, ミオクローヌス, 運動失調, 行動障害, 睡眠障害などの臨床的特徴を伴う
「オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群」という用語は
運動失調, 脳症, ミオクローヌスを伴う持続的なオプソクローヌスを指す
オプソクローヌスとミオクローヌスは最も特徴的な徴候だが, これらがみられない場合もある
最近のfMRIおよびFDG-PET研究では, 小脳深部核(FNおよび扁桃)におけるグルコース代謝の増加が明らかになり, オプソクローヌスの小脳病態機序に関する仮説を裏付けている
【臨床症状】
オプソクローヌスは, 連続する多方向の共役サッケード
サッケード間隔はなく, 振幅は18~58°, 速度は10~25 Hz
水平, 垂直, ねじれのサッカードを伴う眼の高周波振動のバースト
罹患した患者は, 振動視 (視覚世界の錯覚的な動き) やめまいを自覚する
OMSの約20%に, オプソクローヌスの発症が遅れ, 運動失調が著しく, 左右非対称であるという非典型的な臨床症状がみられる報告あり
オプソクローヌスが目立たない場合は, 振戦やその他の腫瘍随伴性疾患と誤診される可能性がある
【診断基準案】

オプソクローヌス,
ミオクローヌス, 運動失調,
行動の変化または睡眠障害,
腫瘍性状態または抗神経抗体の存在
4つの特徴のうち3つが存在する場合に行う

診断アルゴリズム
【病因】
成人のOMSの病因は多様
腫瘍随伴性, 感染随伴性, 代謝性, 特発性
腫瘍随伴性:
小児: 神経芽腫
成人: 乳腺癌, 小細胞肺癌を伴う抗神経核抗体2型 (ANNA-2, 抗Ri)
OMS患者の大多数は, 既知の抗神経抗体に対して陰性
OMSの39%が腫瘍随伴性, 61%が特発性であると報告
腫瘍随伴性では, 小細胞肺癌, 乳癌, 卵巣奇形腫が最も頻繁に同定
腫瘍神経抗体は患者の11 %
そのほとんどはRi/ANNA2抗体で, 乳がん患者の70%で検出
神経表面抗体であるグリシン受容体抗体は患者の11%で確認され, そのほとんどは肺がん
腫瘍性疾患のない患者:
感染随伴性, 感染後自己免疫過程の一部として多数報告
HIV, マイコプラズマ, サルモネラ, ロタウイルス, サイトメガロウイルス, ヒトヘルペスウイルス6, C型肝炎, リケッチアなど
抗レトロウイルス療法開始後の免疫再構築中に発症することもある
【治療】
コルチコステロイド, IVIG, リツキシマブなど
コルチコステロイドとIVIGの併用が有用な報告が多い
中等度のOMS患者において, シクロホスファミドやリツキシマブの併用に, 良好な反応を示したという報告もある
[Oh, Sun-Young et al. “Update on opsoclonus-myoclonus syndrome in adults.” Journal of neurology vol. 266,6 (2019): 1541-1548. doi:10.1007/s00415-018-9138-7]
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