髄液細胞数正常のヘルペス脳炎はめずらしくなさそうです
非典型的なMRI所見例も存在します.
髄液所見にかかわらず脳炎を疑ったら, ひとまずアシクロビルは投与した方が良さそうです.
Challenges in HSV encephalitis: normocellular CSF, unremarkable CCT, and atypical MRI findings. Infection. 2019
後ろ向きコホート研究
2013年1月1日から2018年2月28日
ミュンヘンの大学病院
PCRで証明されたHSV脳炎を18例を評価

最もよくみられた臨床所見は, 精神状態の変化 (77.8%), 局所神経異常 (72.2%), 発熱 (72.2%)
【髄液所見】
4人 (22.2%) は入院時の脳脊髄液細胞数が正常
これらの患者では, 髄液蛋白のわずかな上昇のみ.
4人のうち3人は, 免疫抑制状態
4人のうち3人は, 入院後2~6日目に髄液細胞数が増加.
髄液細胞数正常例はアシクロビル投与が遅れた (入院後2.5日 対 0.7日)
【MRI】
MRIは症状発症後1~16日 (平均5.5日)
94.1%の患者でHSV脳炎に関連する所見あり.
すべて側頭葉に病変があり, ほとんどが島皮質の病変
病変パターンは大部分が非対称で, 両側側頭葉の病変は症例の23.5%
経過中に6人に出血性変化
4人は初回のMRIで非典型的な所見
1人は正常所見.


MRI非典型例
【経過】
全患者はアシクロビルで治療
3人のはアシクロビルによる治療中も悪化
1人は両側側頭葉出血で開頭減圧術
患者の94.4%が生存したが, 良好な臨床結果で退院したのは38.9%
【まとめ】
すべての患者で異常な脳波所見あり.
髄液細胞数正常例は22.2%.
94.1%に脳MRI検査で異常を認めるが, 非典型例も存在する
[Bewersdorf JP, Koedel U, Patzig M, Dimitriadis K, Paerschke G, Pfister HW, Klein M. Challenges in HSV encephalitis: normocellular CSF, unremarkable CCT, and atypical MRI findings. Infection. 2019 Apr;47(2):267-273. doi: 10.1007/s15010-018-1257-7. Epub 2018 Dec 1. PMID: 30506479.]
コメント