正常亜型のスパイク (wicket, SSS, 14 and 6 Hz positive)

これらは非常に誤診の多い波形です

【wicket spike/rhythm】
有病率6.8~15%

主に成人, 年齢中央値は28歳 (範囲1~89歳)

単相性の弓状または鋭い輪郭

単一または0.5~3秒間続く連続

6~11Hz, 60~200 μV

中側頭部で最大

片側だけに見られることが多いが, 両側もある. 左側が多い.

眠気や浅い睡眠 (ステージ I および II) が多く, 覚醒時やレム睡眠時にも見られる.

単発の場合, てんかんと誤診される

after slowがない, EEG背景の中断または減速がないことが, てんかん性放電と鑑別.

またwicket rhythmがあれば, 比較することで, てんかん性放電との鑑別が容易になる

wicket rhythmがないのにwicket spikeのみ単独で現れることはまれである。

MEG音源分析によると、wicket rhythmは側頭上聴覚野に局在し, 聴覚刺激によって減少することから, アルファリズムの聴覚的アナログである可能性がある(Tiihonen, 1991)

しかし, 聴覚刺激もまた, 警戒や覚醒を生じさせ, ウィケットリズムを減衰させることがある

左: wicket rhythm

右: てんかん性異常

左: wicket spike

右: wicket rhythm

[Krauss GL, Abdallah A, Lesser R, Thompson RE, Niedermeyer E. Clinical and EEG features of patients with EEG wicket rhythms misdiagnosed with epilepsy. Neurology. 2005;64(11):1879-1883. doi:10.1212/01.WNL.0000163991.97456.03]

【small sharp spike: SSS】
有病率1%

年齢中央値は38歳 (範囲10~80歳)

急速な上昇と急激な下降を伴う単相性または二相性のスパイク

散発的で連続して発生することはない

通常は持続時間が短く (< 50 ms)

振幅が低い (< 50 μV)

after slowは顕著ではなく, 通常はスパイク成分よりも振幅が低くなる.

眠気や浅い睡眠 (ステージ I および II)のときに, 前側頭部, 中側頭部に比較的広範囲

縦の双極誘導: SSS

【14 and 6 Hz positive burst
櫛のような形態

以前は, 14 Hz and 6 Hz positive spikeと呼ばれていた

発生率8.3%. 中央値13歳で1.8%

小児期に現れ始め, 思春期にピークを迎え, 加齢とともに減少

アーチ型, 低電圧 (通常75 μV未満) バースト, 0.5~2秒

positive spikeは14 Hz (範囲13~17 Hz) および6 Hz (範囲5~7 Hz) で発生

後側頭領域で最大

ほとんどの場合, 両側非対称または非同期

浅い睡眠や眠気のときに発生し, 覚醒時や深い睡眠 (ステージ 3) には消失. REMで認めることもある.

尖った波形成分は陽性で, 対側耳柔やその他の遠隔部位の基準電極を用いた導出で最もよく記録される.

(A) 縦の双極誘導

(B) AV

T5: 6 Hz positive spike, T6: 14 Hz positive spike

[Amin U, Nascimento FA, Karakis I, Schomer D, Benbadis SR. Normal variants and artifacts: Importance in EEG interpretation. Epileptic Disord. 2023;25(5):591-648. doi:10.1002/epd2.20040]

【まとめ】

Wicket, SSS, 14 and 6Hzのいずれも, 軽度睡眠時によく認められる.

SSS: 前, 中側頭部. 中央値38歳

Wicket: 中側頭部. 中央値28歳

14 and 6Hz: 後側頭部. 中央値13歳

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