焦点てんかんと全般てんかんの脳波: review

EEG in focal and generalized epilepsies: Pearls and perils. Epilepsy Behav. 2024

ASMは明らかな中毒がない場合でも, びまん性徐波を引き起こすことがある.

高用量のオキシカルバゼピンを服用している焦点てんかん

間欠的律動性徐波

(a) 眠気時

後部優位のリズムの増減に注目. 入眠時の過剰同期 (矢印)

(b) 覚醒時のdiffuse semi-rhythmic slow wave

全般てんかんを示唆している可能性がある

(c) 前頭部優位の律動性徐波

前頭部にてんかん性異常がある可能性を示唆

【律動性デルタ活動】

一般的に非特異的な所見.

片側性でも, てんかん原性領域の側方化に使用すべきではない
しかし, 側頭葉てんかんにおけるTIRDAは側方化の価値がある.
OILDAは, 全般てんかん, 特に欠神てんかんに見られる. 片側性または両側性で開眼により弱まる

【二次性両側同期】
てんかん性放電が, 局所性起源から急速に広がることによって引き起こされる
真の全般性放電は, ある程度の優位性シフトを示す可能性はあるが, 側方化はみられない.

てんかん性放電が片方の半球で一貫して大きい場合は, 焦点てんかんによる二次性同期を疑う.

Secondary bilateral synchrony is usually associated with a lead-in time of at least 2 s;

different morphology of the focal spikes from the bisynchronous epileptiform paroxysms;

triggering spikes have a similar morphology when compared to the other focal spikes in the same region

(a) 焦点てんかんの二次性同期例 (FIAS) : 発作開始

右前頭部に低振幅速波が先行し, 前方優位の全般性3Hz棘徐波/多棘徐波複合

(b) 焦点てんかんの二次性同期例 (FIAS) : 発作後

右前頭部に頻回の発作後放電あり

(c) 焦点てんかんの二次性同期例 (FIAS) : 覚醒時

右前頭部優位に多棘徐波

【小さなてんかん焦点】
脳波は, 皮質表面に垂直な双極子を形成する, 皮質錐体ニューロンによって生成される電気活動を記録
頭皮に記録可能な脳波スパイクを生成するために必要な皮質容積は, 10 cm2以上
てんかん性放電が隣接する皮質に広がることなく, 皮質領域内の場合, 頭皮EEGでは記録されない可能性がある

側頭葉てんかんの焦点発作

脳波変化なし

【睡眠中のてんかん放電】
てんかん放電の頻度は, 睡眠中に増加することが多い

睡眠不足は, てんかん放電の記録を30%増加させる

睡眠中は, 二次性両側同期の可能性が高まる
覚醒時, レム睡眠中に記録されたてんかん性放電は, 特に側頭葉てんかんにおいて, てんかん原性領域の側方化に信頼性がある

(a) 焦点てんかん (3歳)

右前頭部に棘波

(b) 睡眠時

棘波が右半球内で拡散し二次性同期を認める.

【睡眠関連過運動性てんかん (以前は常染色体優性夜間前頭葉てんかん)】

半数以上には発作間欠期の異常なし.

典型的な発作時の所見は, 前部領域での拡散減衰または律動の緩慢化

脳波に発作時の変化がみられないこともよくある

睡眠関連過運動性てんかんは, 睡眠時随伴症と誤診されることが多いが, 定型的な行動, 覚醒時の出来事, 明らかな発作の履歴, てんかんの家族歴, 一晩に複数の出来事が診断の確定に役立つことがある。

【IGEの非典型的なてんかん性異常】
IGEの66%に, 少なくとも1種類の非典型的なてんかん性異常あり.

JAE, JMEに多い.

振幅非対称 (28%), focal IEDs (21.5%), focal onset (13.1%)

発作の24%のみが典型的な波形

spike and wave complexの最大振幅は, 前頭中心領域 (96.3 %) で最も頻繁

次いで前頭極 (2.4%), 後頭領域 (1.3%)
局所性IEDsと混同されることが多い全般てんかん放電の「断片化」は, 睡眠中やASMを受けている患者に見られる

(a) JME

てんかん放電の非対称性

(b) JME

顕著な振幅の非対称性

【速波活動】
睡眠中に15~25Hzの全般性速波が出現する現象は, 発達性脳症やてんかん性脳症でよく見られる

特発性全般てんかんの成人における薬剤耐性の脳波バイオマーカーとなり, 予後予測に役立つ可能性がある

薬剤抵抗性JAEの脳波

table1: 特発性全般てんかんと焦点てんかんのIEDs比較

[Montenegro MA, Valente K. EEG in focal and generalized epilepsies: Pearls and perils. Epilepsy Behav. 2024 Jul;156:109825. doi: 10.1016/j.yebeh.2024.109825. Epub 2024 Jun 4. PMID: 38838461.]

【まとめ】

焦点てんかんの二次性同期, 全般てんかんとのIEDsの鑑別は, 下記を含めた包括的な判断が必要です.

焦点てんかん:

発作間欠期徐波は, 焦点てんかんのIEDsと同じ領域

ダイポールは一定

IEDsは, 睡眠で賦活化

片方の半球で一貫して大きい場合は, 焦点てんかんによる二次性同期を疑う

全般てんかん:

IEDsは, 覚醒時に賦活化. VPAで断片化や消失する

過換気賦活でIEDsが誘発されうる

発作の24%のみが典型的な波形

spike and wave complexの最大振幅は, 前頭中心領域 (96.3 %) で最も頻繁

焦点てんかんの脳波は焦点源で異なるの記事はこちら

全般てんかんの焦点性脳波異常と発作症状の記事はこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました