ILAE 2022から抜粋


注: 必須基準の一つのてんかん性スパズムが表から抜けている
早期乳児発達性てんかん性脳症
(Early-infantile developmental and epileptic encephalopathies: EIDEE)
・生後3ヶ月以内にてんかんを発症
・姿勢, 緊張, 運動など神経学的診察所見の異常
・時間経過とともに明らかになる中等度から重度の発達障害
・バーストサプレッションパターン, びまん性徐波化, 多焦点性放電などの発作間欠期脳波の異常
・神経画像, 代謝, 遺伝学的検査により, ~80%の症例で正確な病因の分類が可能
主な発作型は焦点強直, 全般強直, ミオクロニー, 焦点間代, てんかん性スパズムなど
EIDEEは新生児と乳児を含み, 以前は大田原症候群や早期ミオクロニー脳症に分類されていた.
素因性, 代謝性, 構造的といった数多くのさまざまな病因がありうる.
10万出生あたり10人
本症は乳児期早期 (0~3か月) に始まる.
神経学的診察ではしばしば重篤な異常を認め, 筋緊張の異常 (最も多いのは中枢性低緊張), 姿勢異常, 皮質性視覚障害を伴う運動行動の異常
ほとんどの小児が中等度から重度の発達障害を有する.
EIDEEは, てんかん性スパズムが主発作型かどうかにかかわらず, IESSに移行することがある.
バーストサプレッションや多焦点性脳波異常が, ヒプスアリスミアパターンに進展することもある.
EIDEEの乳児では, ミオクローヌス, ヒョレア, ジストニア, 振戦などの運動障害を併発することがよくある.
【発作】
診断には, 以下の発作型のうち 1 つ以上が必要である.
1.強直発作
2.ミオクロニー発作
3.てんかん性スパズム
4.強直, 間代, 自律神経要素, および自動症などを呈するが, 単一の優勢な発作型は示さない連続性発作 (sequential seizures)
強直発作をスパズムと区別する特徴には
(1) 強直発作は, 睡眠周期とは無関係に起こる. てんかん性スパズムは通常は起床時に多い
(2) 強直発作は, てんかん性スパズムより長い (3秒以上)
新生児期には, 強直発作は焦点性または非対称性
焦点または多焦点性のミオクロニー発作が主発作型である場合がある.
ミオクロニー発作は, 易変性や, 粗大, 両側性などもある.
易変性ミオクロ二ー発作は, 非同期性, 非対称性でランダムである.
顔面や四肢に発生することもあれば, 眉毛, 唇, 指のみに限局することもある.
覚醒時, 睡眠時ともに発生する.
易変性ミオクローヌスは, 代謝性病因に関連することが多い.
てんかん性スパズムは一部の患者に起こる.
生後1か月以降でより多くみられる.
発作は通常, 群発し, しばしば起床時に発生する.
連続性発作は, 一つの発作中に複数の発作症状が順に生ずることを特徴とする
例えば, 焦点強直発作で始まり, 焦点間代発作, てんかん性スパズムと続くが, 単一の症状が優勢とはならない.
上記の発作型に加えて, 焦点運動発作が起こることもある.
【脳波】
発作間欠期:
背景活動は異常, バーストサプレッション, 多焦点性棘波, 棘徐波, 鋭徐波
徐波化, 非連続性あるいはびまん性徐波化を伴うこともある
背景活動の異常は,まれにごく初期には乏しい場合もあるが,発作頻度の増加とともに急速に悪化する.
バーストサプレッションパターンは, 覚醒時と睡眠時の両方にみられ刺激には反応しない.
バーストサプレッションパターンは, 通常両側性であるが, 非対称性, 非同期性あるいは片側性であることもある.
ランダムな焦点性の低振幅化がみられることもある.
バーストサプレッションパターンは, 年齢とともに消失するが, 脳波は異常のままである.
IESSに移行した乳児の場合, 年齢とともにヒプスアリスミアが出現することがある.
病因が治療可能なものであれば (代謝的病因, 外科治療可能な構造病変), 脳波は改善し正常化することさえある.
発作時:
新生児期には, 発作パターンは焦点性または非対称性である.
強直発作では, バーストサプレッションパターンは減衰し, 低振幅で高周波数の速波活動が出現する.
ミオクローヌスは, 棘波/鋭波と相関することがある.
易変/断片化ミオクローヌスは, 発作活動に相関しないことがある.
焦点起始発作では, 焦点性の発作性漸増律動を伴う.
連続性発作の発作パターンは,臨床症状の変化に応じて発作中に変化していく.
てんかん性スパズムでは, 高振幅な全般性または焦点性鋭波または徐波を伴い, その後, 低振幅速波活動
および減衰を伴う.
臨床発作の有無にかかわらず, 発作性脳波パターンがみられることがある.

バーストサプレッション
【画像】
ある種の素因性病因の場合, 画像診断は初期には正常であることが多いが, 脳容積の減少や, 白質髄鞘化遅延・髄鞘化異常を示すことがある.
時間経過とともに脳萎縮が進行することがある.
【代謝検査】
明らかな構造異常がない場合,代謝検査を強く考慮する
尿中有機酸, アミノ酸 (s-スルホシステインを含む), 尿中α-アミノアジピンセミアルデヒド,
血漿アミノ酸, 乳酸, 尿酸, 銅/セルロプラスミン, アンモニア, アシルカルニチンプロファイル,
トランスフェリン等電点, 極長鎖脂肪酸,
髄液のグルコース, 乳酸, ピルビン酸, アミノ酸および神経伝達物質など
https://www.ilae.org/files/dmfile/infant-onset—japanese.pdf
【まとめ】
生後3ヶ月以内にてんかんを発症し, 中等度から重度の発達障害, 筋緊張の異常
IESSに移行することがある.
診断には, 以下の発作型のうち 1 つ以上が必要
1.強直発作
2.ミオクロニー発作
3.てんかん性スパズム
4.強直, 間代, 自律神経要素, および自動症などを呈するが, 単一の優勢な発作型は示さない連続性発作 (sequential seizures)
易変性ミオクロ二ー発作は, 非同期性, 非対称性でランダム
連続性発作は, 一つの発作中に複数の発作症状が順に生ずる
発作間欠期:バーストサプレッションパターンは, 覚醒時と睡眠時の両方に出現, 年齢とともに消失
発作時:強直発作では, 低振幅で高周波数の速波活動
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