片頭痛の問診と治療

最近, 他院から片頭痛患者が流れてくることが多いのでまとめました.

緊張型頭痛には何を使う?の記事はこちら

【問診】

まず, 二次性頭痛の否定が最優先ですが, クリニックの外来では, 片頭痛, 緊張型頭痛, 片頭痛と緊張型頭痛の合併がほとんどです.

高齢者や血管リスク因子が多い場合は, 画像検査の閾値を下げています.

片頭痛と緊張型頭痛に関しては, 画像検査などで調べることはできないので問診が大事になります.

このことは, てんかん診療と似ているなと感じます.

POUND scoreが4つ以上で片頭痛の可能性が高いと言われていますが, 個人的にはあまり使用していません.

結構, 緊張型頭痛でも当てはまってしまうこともありますので,,,

Pulsatile quality(拍動性)
duration 4-72 hOurs(持続時間4-72時間)
Unirateral location(片側性)
Nausea/vomit(悪心嘔吐)
Disabling intensity(日常生活に支障あり)

片頭痛は, てんかんと同じく発作的な疾患なので, てんかん診断のときと似たような問診で対応しています.

てんかんの病歴聴取の記事はこちら

「頭痛の頻度はどれくらいですか? 月に何回? 毎日?」

「頭痛は何時間続きますか?」

「頭痛はどんなときに出やすいですか? パソコンなどで集中したとき? 首肩の疲労?」

「頭のどこが痛みますか? 頭全体が締め付けられるような感じですか?」

「嘔気, 音過敏, 羞明も伴いますか? 暗いところでじっとしていますか?」

「頭痛がきそうだなっていう, なにか前兆はありますか?」

「家族は頭痛持ちですか?」

これらの問診で, 前兆がある, 自律神経症状を伴う, 発作的, 家族歴があれば, 片頭痛を疑うようにしています.

緊張型頭痛も併存している場合には判断が難しいので, 診断的治療としてラスミタジン (レイボー) を試すこともあります.

緊張型頭痛の薬はどうする?の記事はこちら

【治療】

急性期治療

今のところ, トリプタン系からラスミタジン (レイボー) に切り替えることで上手く行っています.

薬価もレイボー錠 50 mg 324.7円, 100 mg 570.9円なので, トリプタン製剤と大きく変わりありません.

トリプタンのように頭痛発作時早期に内服する必要はないので, 起床時に頭痛があるケースや, トリプタン内服のタイミングが遅れがちな人に良い印象があります.

眠気や倦怠感が出ることもあるので, 50 mgで開始することが多いです.

いまいちなら, 100 mgでも試してくださいと説明するようにしています.

予防薬

頻度が多い場合や, 頭痛が強い場合には予防薬を使用しています.

予防薬により, 頭痛の強さがやわらぐことも多い印象です.

注射製剤は, 3割自己負担でも月1万の費用がかかるので嫌がられるケースが多いです.

私は下記の処方を好んでいます

妊娠可能な女性: プロプラノロール

それ以外: ロメリジン→バルプロ酸, プロプラノロール→アミトリプチリン, トピラマート

特にCa拮抗薬のロメリジンは, ほとんど副作用がなく, 著効することも多いので好んでいます (注: 妊婦には禁忌)

緊張型頭痛も併存している場合は, アミトリプチリン少量も良いかもしれません.

緊張型頭痛には何を使う?の記事はこちら

【ピル】

・前兆のある片頭痛では, エストロゲンを含有する経口避妊薬は原則禁忌である (強い推奨/エビデンスの確実性A)

・前兆のない片頭痛では, エストロゲンを含有する経口避妊薬は禁忌ではないが, 使用にあたり慎重な判断を要し, 経過観察が必要である (弱い推奨/エビデンスの確実性B)

https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/zutsu_2021.pdf

コメント

タイトルとURLをコピーしました