てんかんのdouble inversion recovery (DIR) 法

脳脊髄液と白質からの信号を同時に抑制することで, 病変と背景のコントラストをつける


正常なローランド野周辺
(a) T1, (b) DIR

DIR ではローランド野周辺の信号強度は比較的低い.

正常な海馬, 扁桃体

細胞構造の違いにより, 正常な海馬と扁桃体は, DIR, T2で大脳皮質よりもわずかに高信号になる.
(a) T2, (b) FLAIR, (c) DIR

不完全な髄鞘形成 (20ヶ月小児)

(a) DIR, (b) FLAIR

髄鞘形成が進んでいる正常な領域は, 無髄白質のT2短縮が相対的に低下しているため, DIRで目立つ.

灰白質と白質の境界がぼやけて見えるが, 左右対称であれば正常な所見.

左海馬硬化症

(a) T2, (b) FLAIR, (c) DIR

DIRは​​, 海馬の非対称信号強度を増加させる

発作時変化

(a) T2, (b) FLAIR, (c) DIR

DIRで最も目立つ

FCD

(a) T2, (b) FLAIR, (c) DIR

DIRは, transmantle signと白質の境界に優れている

結節性硬化症

(a) DIR, (b) FLAIR

DIRでは, transmantle signの境界はより正確に描写

脳室周囲結節性異所性灰白質

(a) T1, (b) DIR

異所性灰白質は, DIR 画像でより顕著

異所性灰白質の信号強度は, 正常灰白質と同じ

多小脳回

(a) T1, (b) FLAIR, (c) DIR

多小脳回は皮質発達の後期段階で発生.

そのため比較的異形成が少なく, FCDのように高信号を示さない場合がある.


胚芽異形成性神経上皮腫瘍 (DNET)

(a) FLAIR, (b) DIR

DIRでは, 腫瘍と隣接する正常に見える皮質との間に, 高いコントラストが得られる.

[Soares BP, Porter SG, Saindane AM, Dehkharghani S, Desai NK. Utility of double inversion recovery MRI in paediatric epilepsy. Br J Radiol. 2016;89(1057):20150325. doi:10.1259/bjr.20150325]

【まとめ】

DIRは皮質と白質のコントラストが強くなり, 病変の検出率が高まる.

しかしながら, 海馬, 島皮質, 不完全な髄鞘形成には注意が必要である.

MRI: てんかん精査プロトコールの記事はこちら

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