2024-09

てんかん

焦点てんかんの脳波は焦点源で異なる (二次性両側同期)

焦点ごとの違いと, 二次性同期化について調べてみました焦点の場所により脳波の特徴が異なり, どのように伝播していくか, 脳波でイメージすることが大切です.焦点てんかんの二次性同期化と, 全般てんかんのIEDsの鑑別は, 信号源の推定と方向が役立ちそうです.
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発作時脳波はreferential montageも大事

陰性電位が側頭部に均等に分布していたため, 縦の双極誘導では明らかにならなかった.この症例では, 発作にEEGの相関がないと結論付ける前に, referential montageでも検討する必要があった.
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電位マップの解釈はどう行う?

IEDsの始まりからピークまで, どのようにnegativityが分布するかを確認することで, 発生源を推定することに役立ちそうです.きれいにダイポールを描かないケースもあるので, 適切な波形を選択することも重要です.
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脳波は電位マップも大事2

まずは, negativity (青), positivity (赤) がきれいに描かれていることを確認します.次に, 青と赤の頂点間のベクトルをイメージします.ベクトル上に焦点があることを推定できます.
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早期乳児発達性てんかん性脳症 (EIDEE)

生後3ヶ月以内にてんかんを発症姿勢, 緊張, 運動など神経学的診察所見の異常時間経過とともに明らかになる中等度から重度の発達障害バーストサプレッションパターン, びまん性徐波化, 多焦点性放電などの発作間欠期脳波の異常神経画像, 代謝, 遺伝学的検査により, ~80%の症例で正確な病因の分類が可能
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てんかんにアセタゾラミドは有効?

アセタゾラミド (ダイアモックス) は炭酸脱水酵素阻害剤ですが, ときどき抗発作薬として有用と聞くことがあります.そのエビデンスについて調べてみました.酸感知イオンチャネルに反応することで, NMDAやGABAなどの神経伝達物質や受容体に影響し, 神経細胞の活動を変化させる.このことが, 神経炎症の調整と, HFOを減衰させることで, 発作閾値が上昇すると考えられ
精神

非精神科医のせん妄・BPSD

抑肝散でだめなときにどうしたら良いか, 精神科専門医に聞いてみました.糖尿病なければ, クエチアピン (セロクエル) 25 mg糖尿病があれば, リスペリドン (リスパダール) 0.5 mgブロナンセリン (ロナセンテープ) 20 mg: テープなので服薬拒否があっても大丈夫
脳神経内科

慢性めまい症 (PPPD) に抗うつ薬を使う

持続性知覚性姿勢誘発めまい (PPPD: persistent postural-perceptual dizziness)原因不明とされていためまい症の約70%SSRI, SNRIの治療反応率は65.0%うつ病の初期用量の4分の1から半分の量で開始.エスシタロプラム (レクサプロ) の場合, 初期用量 2.5~5 mg/day, 治療範囲 10~20 mg/dayを提案.
脳神経内科

片頭痛の問診と治療

私は下記の処方を好んでいます妊娠可能な女性: プロプラノロールそれ以外: ロメリジン→バルプロ酸, プロプラノロール→アミトリプチリン, トピラマート特にCa拮抗薬のロメリジンは, ほとんど副作用がなく, 著効することも多いので好んでいます (注: 妊婦には禁忌)緊張型頭痛も併存している場合は, アミトリプチリン少量も良いかもしれません.
精神

非精神科医の不眠症治療・授乳

パターン1 (非ベンゾジアゼピン系)強さ: マイスリー > アモバン > ルネスタ持続: ルネスタ > アモバン > マイスリーパターン2 (抗精神病薬)糖尿病がなければ, セロクエル 12.5 mg糖尿病があれば, リスパダール 0.5 mgパターン3 (抗うつ薬)リフレックス 7.5 mg
脳神経内科

緊張型頭痛には何を使う?

急性期治療でも生活に支障がある場合は, ミルタザピン (リフレックス) 3.725-7.5 mg/dayから試しています.導入した数は少ないですが, すべて上手く行っています.15 mg錠が一番小さく, 粉砕も可能です.眠気が出やすいので, 少ない量で開始するようにしています.そのため, 不眠も併存している場合には良い適応になります.ベンラファキシン (イフェクサー) も良いかもしれません.アミトリプチリンの方がエビデンスレベルは高いとなっていますが, やはり副作用を懸念してしまいます.
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脳波 (midline theta rhythmとFmθ)

別名: Ciganek rhythmDuration: <20 sec, Smooth, sinusoidal, arch-like, spiky appearance (>50uV)Amplitude: waxes and wanesVertex (Cz)
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脳波 (若年欠神てんかんと過換気賦活)

全般てんかんの判読は, fragmentationか焦点性なのかの判断が必要です.脳波記録全体での判読と病歴を確認することが重要です.過換気賦活中に, spike成分の混入がないか, 欠神発作が誘発されて過換気のリズムが異なっていないか, 注意が必要です.
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発作リスクが高い脳波パターン (critical care EEG)

LPD, LRDA, GPD は発作と関連したが, GRDAは関連しなかったLPDはplusの有無にかかわらず, すべての周波数で発作と関連LRDA, GPDは, 1.5Hz以上の場合に発作と関連
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海馬多切術 (hippocampal transection)

12か月以上の追跡調査を受けた57人のうち43人 (75%) は, seizure freeA. 切断範囲と言語記憶スコア 38人中9人 (24%) のテストスコアは変化なし, 14人 (37%) は低下, 16人 (42%) は上昇.B. 切除範囲と非言語記憶スコア記憶38人中12人 (34%) のテストスコアは変化なし, 13人 (34%) は低下, 13 人 (33%) は上昇.42人のうち36人には合併症なし
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定位的頭蓋内脳波 (SEEG) フランスのガイドライン

SEEGの適応と限界epileptic zoneの仮説を確認し, 代替仮説を排除するために行う最も適しているのは, (1) FCDを含む皮質溝領域(2) 深部皮質構造 (島弁蓋部, 大脳辺縁系など)(3) 深部病変, 脳室周囲病変 (脳室周囲異所性灰白質, 視床下部過誤腫など)
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てんかんのアブレーション

良好: 視床下部過誤腫, 脳室周囲異所性灰白質, 内側側頭葉てんかん不良: 大脳新皮質側頭葉, multilobarなど内側側頭構造が最も一般的なターゲット神経障害が10%に発生 (2%は永続的)
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自己免疫介在性脳炎の誤診

臨床所見: 緩徐進行性の発症, 多数の併存疾患. 機能性神経疾患, ミトコンドリア病, 正常な神経心理検査.MRI: 正常所見, 信号異常を伴わない進行性の萎縮, 免疫治療にもかかわらず病変がひろがる.髄液: 炎症所見がない.抗体: TPO抗体陽性例, GAD65抗体価低値, LGI1/CASPR2陰性のVGKC陽性例, 血清NMDAR抗体陽性だが髄液NMDAR抗体陰性例, CASPR2抗体価低値, 認定されていない研究室での抗体測定.
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若年ミオクロニーてんかん (JME) と全般強直間代発作のみを示すてんかん (GTCA)

もともとは, 覚醒時大発作てんかんと呼ばれていた患者は, さまざまな頻度のGTCSを有する.通常は10代あるいは20代前半に発症発作は, 典型的には睡眠不足によって誘発脳波は, 3-5.5Hzの全般性の棘徐波または多棘徐波放電を示す.寛解率は低く, 生涯にわたる治療が必要なことが多い
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小児欠神てんかん (CAE) と若年欠神てんかん (JAE)

過呼吸が3分間正しく施行されても全般性棘徐波がみられない場合, 欠神発作の可能性は低い.欠神発作中に, 自動症, かすかなミオクローヌスを伴うこともある.JAEでは, ESMはGTCSを生じる可能性が高いため, 初期の単剤療法としては推奨されない.10歳以上で発症した場合の鑑別は,欠神発作の頻度 (CAE>JAE), GTCSや欠神重積状態のリスク(JAE>CAE), spike and waveの規則性 (CAE>JAE), 周波数の多さ (JAE>CAE)教科書的な3Hz spike and waveはCAE, GTCAのような要素が多ければJAEというイメージでしょうか
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脳波 (phantom spike: 6 Hz spike and waves)

典型的な全般てんかんのIEDsは, 前頭部優位, 2.5-4.5Hz程度のことが多いです.Phantom spikeは, 6Hz前後で, 波形は小さく, かわいらしい印象を持っています.WHAMとFOLDを分類するにあたっても, 適宜モンタージュを変更して分布を確認することが重要です.
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バルプロ酸 (VPA) とラモトリギン (LTG) の併用

LTG, VPA単剤療法で効果がいまいちな場合は, 併用療法を試してみても良いかもしれない.
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焦点切除術後の高次脳機能はどうなる?

30歳以降に発作を発症した患者の60%以上が, 左ATR後にnaming ability低下右ATR後にnaming abilityが低下した患者は5%未満15歳以上での発作発症の場合は, 言葉の検索困難を経験する可能性が高い発作開始年齢が若い場合は, 呼称能力がすでに低下し術後に失うものが少ないか, 脳機能が再構築された可能性がある発作発症の年齢が高いことが, 手術後の機能低下のリスクを高める
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側頭葉プラスてんかん (temporal plus epilepsy)

側頭葉てんかん原発領域が隣接領域に広がることを特徴とする手術成績不良要因として報告されている.外傷・感染による症候性や, SEEGを必要とする側頭葉てんかんで, 側頭葉プラスてんかんが明らかになった場合の術式は, 注意が必要そうです.
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アメリカではどの抗発作薬を好む?

アメリカでは, ミオクロニー, 肝疾患以外は, ほぼすべてでLTGが好まれている.日本の脳神経内科, 脳神経外科は, LVE, LCMを選択することが多い印象ですが, LTGも良いかもしれません.
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反射てんかん (reflex epilepsy)

真の反射てんかんと反射発作を鑑別するには病歴が大事.IGE, 症候性てんかん, 特発性光過敏性後頭葉てんかん, その他の視覚過敏性てんかん, 一次読書てんかん, 驚愕てんかんなどとの鑑別が必要そうです.
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笑い発作 (gelastic seizure)

感情的な笑い前帯状回, 腹側前頭島皮質, 扁桃体, 視床下部, 中脳水道周囲灰白質に位置すると推測非感情的な笑い補足運動野, 前補足運動野, 前頭運動蓋蓋野, 運動皮質, 頭頂皮質のネットワークを推測視床下部過誤腫に関連する笑い発作では, 感情的な笑いが特徴焦点てんかんの場合, 他の徴候と関連した機械的な笑いとして現れることが多い
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てんかんのarterial spine labeling (ASL)

FDG-PETに変わるほどではありませんが, 発作周辺期のhyperperfusionは側方性の判断に役立ちそうです.
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てんかんのdouble inversion recovery (DIR) 法

脳脊髄液と白質からの信号を同時に抑制することで, 病変と背景のコントラストをつける. DIRは皮質と白質のコントラストが強くなり, 病変の検出率が高まる.しかしながら, 海馬, 島皮質, 不完全な髄鞘形成には注意が必要である.
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脳波 (全般性 vs 二次性同期化)

脳波検査では, 全般てんかんのfragmentationを焦点と解釈したり, 焦点てんかんの二次性同期化を全般と解釈したりしてしまうことがあります. 上記に示したように, 双極誘導, referential montageを比較しながらnegativityの分布を頭の中でイメージし, その所見が臨床情報に矛盾しないか考察することが大事だと考えます.EEG spikeが同じ側から常に微妙に早く先行していないか, EEG spikeの振幅がどちらかに常に寄っていないか, 注意深く判読することが重要なのではないかと考えています.もしそうであるならば, 特に内側前頭葉てんかんの可能性を疑い, その視点で画像も判読することが重要だと考えています.
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難治性特発性全般てんかんの抗発作薬はどうする?

なかなか解釈が難しいですが, 妊娠可能な女性にはLEV, LTGを選択し, 不十分なら併用することも多いのが実情だと思います.この論文では, IGEにLTGの効果は低い結果でしたが, LTGの漸増期間を考えると解釈に注意が必要です.妊婦に対するLCMの安全性が確立されれば, LCMもありかもしれません.IGE全体ではVPAが最も有効という結果でした. 妊娠を考慮しなければ, まずVPAが選択肢となりそうです.時々, 難治性JMEが問題となりますが, LEV, LTG, VPAでもダメそうなら, PERも良さそうです. 次点として, TPM, LCMといったところでしょうか.