発作時SPECTはどんなときに有用でしょうか?
PET and ictal SPECT can be helpful for localizing epileptic foci. Curr Opin Neurol. 2018
発作時 (ictal) SPECTは, MRIでnon-lesion, 主に側頭葉外に焦点が局在する場合に有用.
発作開始領域 (SOZ) から離れた過灌流領域は, てんかんネットワークを反映.
MRIの結果が一致しない, またはMRI陰性の症例に適用され, SEEGの計画やSOZの特定に役立つことが示されている.
小児てんかん95人: 60人にSISCOMで局所的な結果あり, 85%で脳波SOZと一致する局所性過灌流あり.
注入時間が短いほど診断精度が高まる.
注入時間:
(平均18秒): SOZと一致,
(平均27秒): SOZと不一致,
(平均35秒): 非局所性.
著者らは, 注入潜時は25秒未満にすべきであると結論.
より体系的なアプローチでは, 注入潜時35秒未満を推奨.
MRI, てんかんの原因, 発作持続時間には有意差なし.
SISCOM, SOZ, 切除領域の一致は, 術後6か月の発作消失と相関.
MRI陰性109人: 1年後のEngel IA 54.1%, 最終追跡調査では60%近くが発作消失
[von Oertzen TJ. PET and ictal SPECT can be helpful for localizing epileptic foci. Curr Opin Neurol. 2018;31(2):184-191. doi:10.1097/WCO.0000000000000527]
Semiology, EEG, and neuroimaging findings in temporal lobe epilepsies. Handb Clin Neurol. 2022
側頭葉てんかんの場合
側頭葉を起点とする焦点発作は, 側頭葉外と同様の感度を示さない
側頭葉起始のFIASは, 同側の島および基底核, 側頭葉前部の初期灌流亢進によって特徴づけられる.
内側側頭構造は発作後2分まで灌流亢進を示す.
外側側頭構造は低灌流パターンを示す.
MTLE-HSでは, 頭皮脳波におけるIEDの頻度が, 発作時の亢進パターンに寄与.
MTLE-HSでは, ictal SPECTはVEEGとMRI以上の局在の価値を付加しないため, 術前計画には使用されない.
発作時脳波が非側方性TLEの大部分において, ictal SPECTは正しく側片化した報告もある.
ictal SPECTは主にMRIが正常な患者において, SEEGでさらに検査すべき脳領域を限定するのに有用.

側頭葉てんかん
(A) T1: 所見なし
(B) FDG-PET: 左前海馬, 側頭極に代謝低下
(C) SISCOM-SPECT: 左側頭極, 左外側側頭葉皮質に過還流
[Frazzini V, Cousyn L, Navarro V. Semiology, EEG, and neuroimaging findings in temporal lobe epilepsies. Handb Clin Neurol. 2022;187:489-518. doi:10.1016/B978-0-12-823493-8.00021-3]
【まとめ】
発作時 (ictal) SPECTは, MRIでnon-lesion, 主に側頭葉外に焦点が局在する場合に有用です.
注入潜時は25-35秒未満が良さそうです.
側頭葉てんかんでは, 側方性の判断に役立った報告もありますが, 側頭葉外と比べると感度は低いです.
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