Clobazam add-on therapy for drug-resistant epilepsy. Cochrane Database Syst Rev. 2019
苦肉の策としてクロバザム (CLB) を開始したところ, 発作コントロールが良好になった例をいくつか経験しました.
一般的にはベンゾジアゼピン系は耐性が問題になりますが, CLBに関してはどうなのか調べました.
ベンゾジアゼピン系
半減期は17~49時間と長い
ひとまず発作をしのぎたいとき (LTGで薬疹が出たときの代替など), ミダゾラム持続静注からの離脱時, 難治性てんかんにおいて基本的なASMで効果がないときなどで使用しています.


CLBに関する研究は少なく, いずれもエビデンスレベルは低く, 観察期間も12週間程度である.
Robertson (1995) とRemy (1994) は, 平均してそれぞれ32%と39%の患者が, CLBを長期投与中に耐性を発現.
Remy (1994) は, 耐性は通常, 治療開始から1-6か月以内に発生し, 6 か月で発現するのが最も一般的と報告.
患者の28%が, 効果低下や耐性を経験することなく, てんかんを長期にコントロールできるとも報告.
エビデンスの質は低く, CLBの有効性と忍容性を正確に表しているかどうかは不確実である.
[Bresnahan R, Martin-McGill KJ, Williamson J, Michael BD, Marson AG. Clobazam add-on therapy for drug-resistant epilepsy. Cochrane Database Syst Rev. 2019;10(10):CD004154. Published 2019 Oct 22. doi:10.1002/14651858.CD004154.pub5]
【まとめ】
LEV, LTG, LCM, PERといったASMの合理的併用をしても, 難治に経過することもあります.
CLBはベンゾジアゼピン系のため, 眠気, 耐性, 依存が懸念点ですが, 耐性を形成せずに長期間発作コントロールが可能なこともあることがわかりました.
ひとまず発作をしのぎたいとき (LTGで薬疹が出たときの代替など), ミダゾラム持続静注からの離脱時, 難治性てんかんにおいて基本的なASMで効果がないときなどで使用しています.
半減期は非常に長く, 眠気が問題となるので就寝前に使うようにしています.
“Clobazam: A Safe, Efficacious, and Newly Rediscovered Therapeutic for Epilepsy.” CNS neuroscience & therapeutics (2015)
クロバザムは, GABA A受容体をアロステリックに活性化し, 他のベンゾジアゼピンよりも鎮静効果を媒介するサブユニットに結合しにくくなる
GABA A受容体は5つのサブユニットから構成
2つのαサブユニット, 2 つのβサブユニット, 1つのγサブユニット
α1サブユニットは鎮静効果を媒介
α2サブユニットは抗不安効果を制御
すべてのαサブユニットは抗けいれん効果を媒介

クロバザムは, αサブユニットとγ2サブユニットの接合部に結合
クロバザムは, 1,4-ベンゾジアゼピンよりもα2サブユニットに対する選択性が高く, 鎮静を引き起こす可能性が低くなる.
クロバザムは, 血中濃度が最高に達するまでに1~4時間かかる
【臨床試験】
クロバザムは補助療法としてよく使用される
焦点発作, GTCS, ミオクロニー発作, 欠神発作などの難治性てんかん患者に非常に効果的であることがわかっている.
Montenegro, et al. ら後ろ向き研究
難治性部分てんかんの成人97人のうち57%が, 平均16.7か月で発作が50%以上改善
小児にも同様に効果があり, 患者の52%で発作頻度が50%減少

小児における単独療法の比較
クロバザムは, カルバマゼピン, フェニトインと同様の有効性を示す
Kalra, et al.
88人の小児, あらゆるタイプのてんかんに対して, 患者の60.2%で完全な発作制御を達成
難治性てんかんの長期研究
2~3年間にわたる30人の研究では, 副作用をほとんど伴わずに, 患者の43%で発作頻度を大幅に減少
最長8年間 (平均3年間) 56人の患者のうち75%で発作回数が50%以上減少
患者が最初の1~3か月後に改善を示さない場合は, クロバザムが効果的である可能性は低く, 中止すべきと推奨
【レノックス・ガストー症候群】
副作用をほとんど伴わずに発作頻度を大幅に減少させた
第II相ランダム化二重盲検試験, 患者68名に補助療法として使用
数ヵ月の間に, 高用量群と低用量群の両方で転倒発作と非転倒発作の頻度が減少
最も一般的な副作用は傾眠, 無気力, 鎮静
フェーズIII試験
プラセボ, クロバザム 0.25, 0.5, 1.0 mg/kg/日の投与量で,
平均週発作率が, 12.1%, 41.2%, 49.4%, 68.3%減少
最大 6 年間のオープンラベル延長試験
長期間にわたって有効, 3 年後には患者の80%が「非常に改善」または「大幅に改善」
クロバザムに対して当初良好な反応を示した患者の大多数は, 数年後もその反応を維持
たとえば, 最初の3か月以内に脱力発作の頻度が50%以上減少した患者では, 3年時点で86%がそのレベルの減少を維持
この効果は, 用量を大幅に増やすことなく達成
高用量(1.0 mg/kg/日)および中用量(0.5 mg/kg/日)のクロバザムは, ルフィナミド, フェルバメート, ラモトリギン, トピラマートよりも脱力発作の軽減に優れている
より侵襲的な介入の前に, クロバザムを補助療法として検討することを推奨
【抗不安作用】
不安を軽減することも示されている.
不安を抱える159人: クロバザム (30~80 mg/日) はジアゼパム (15~40 mg/日) よりも優れた
副作用の発生率は同程度
【耐性】
他の多くのベンゾジアゼピン系薬剤と同様に, 患者の一部に耐性を誘発
患者の約36%に耐性が生じるが, 研究によって0%から86%とばらつきが多い.
最大規模で最もよく管理された研究では、耐性は通常問題にならないことが示されています。
877人の成人小児, 7 年間追跡した大規模な研究では, 治療を中止するまでの耐性を生じた患者はわずか9%
レノックス・ガストーでの臨床試験では, 最初にクロバザムに反応した患者のほとんどが数年にわたって反応し続けた
長期治療によく反応する患者は、耐性が生じる患者と比較して、てんかんの罹病期間が短く、てんかんの原因がわかっており、クロバザムの血中濃度が高い傾向がある
クロバザムに対して「耐性」を発現した患者の70%は, 用量を維持または増量した後に再び薬剤に反応
間欠療法は耐性を低下させる可能性があるがエビデンス不足.
約28%の患者は, クロバザムの長期的な効果が期待できる
治療開始から最初の2, 3か月で発作頻度が大幅に減少した患者の大多数は, これらの効果を数か月さらには数年間維持できる傾向がある
【安全性】
他の抗てんかん薬と比較して副作用が軽度
最も一般的な副作用は, 鎮静, めまい
副作用は用量依存性, 約40%の患者に軽度から中等度の副作用
重症薬疹は非常にまれ.
【離脱】
クロバザムの突然の中止は, しばしば離脱症状を引き起こす
クロバザムを徐々に中止すれば回避可能
クロバザムを3週間かけて徐々に減量した, 第II相または第III相試験では, 87 人全員離脱症状なし.
【まとめ】
クロバザムの適応は幅広く, 比較的安全である.
約50%の患者に非常に有効だが, 残りの半数には忍容性が低いか, 効果がない印象がある.
クロバザムは, 他のベンゾジアゼピンよりも鎮静作用が少なく, 抗不安作用があり, 耐性が生じにくい.
クロバザムは, 第一選択薬群でコントロールできない場合や, 忍容性が低い場合に検討可能な薬剤である.
[Gauthier, Angela C, and Richard H Mattson. “Clobazam: A Safe, Efficacious, and Newly Rediscovered Therapeutic for Epilepsy.” CNS neuroscience & therapeutics vol. 21,7 (2015): 543-8. doi:10.1111/cns.12399]
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