頭皮上脳波では, 脳のどこかから発生した電流が, 頭皮上のセンサーに波及した結果をみています.
地震の広がりと同じような感じです.

脳波は波形を意識することも大事ですが, 信号源 (source) と周囲電極への波及を意識することも大事です.
下記の⑥が電位マップで, これを利用するとイメージしやすくなります.
IFCN criteriaでは下記6つのうち4つ以上でepileptiformと判断します

[Kural MA, Duez L, Sejer Hansen V, et al. Criteria for defining interictal epileptiform discharges in EEG: A clinical validation study. Neurology. 2020;94(20):e2139-e2147. doi:10.1212/WNL.0000000000009439]
[Greenblatt AS, Beniczky S, Nascimento FA. Pitfalls in scalp EEG: Current obstacles and future directions. Epilepsy Behav. 2023;149:109500. doi:10.1016/j.yebeh.2023.109500]
電位マップの表示は, 見たい波形のピークにカーソルをあわせて, 頭のマネキンのボタンを選択すると表示できます.
青が陰性電位 (negativity), 赤が陽性電位 (positivity) です.
てんかん性異常はnegativityです.

縦の双極誘導: T3で位相反転しているので, 左中側頭部に最大陰性電位があり, 電位マップでも同様の結果です.
また, 頭蓋底部には陽性電位もみとめます.
つまり, 信号源 (てんかん焦点) は陰性電位と陽性電位を結んだ線上にあり, 頭蓋骨に対して接線方向に, 上から下にむかって電流が流れていると推定できます.

referential montage: T3で最大陰性電位. 左傍矢状部, 矢状部, 右傍矢状部の順で波及しています.

average: T3最大陰性電位. 左傍矢状部にも波及しています.

SD: T3に隣接しているF7, T5, C3, P3への波及も認めます

従来の左右別々のreferential montage: 波及の仕方が若干わかりづらいです
【まとめ】
電位マップを用いると視覚的に評価しやすくなり, さらに陽性電位 (positivity) も認める場合は, 信号源とその電流方向を推定することもできます.
このイメージを持てると, 全般性と二次性同期化の判別もつくようになります.
しかしながら, てんかん性異常でもきれいに電位マップが描かれないことや, アーチファクトやnormal variantでも描かれてしまうこともあるので, 注意が必要です.
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