まもなくブリバラセタム (BRV) が日本で上市されますが, レベチラセタム (LEV) よりもどんなところが優れるか調べました.
MRさんは, LEVをBRVに置換する場合は, LEV 1000-1500 mg = BRV 100 mgが大体の目安とおっしゃっていました.
BRVはLEVと比較してSV2Aに対する親和性が15-30倍高く, 忍容性はLEVよりも良好とされますが, LEVよりも発作予防効果はありますでしょうか?
Levetiracetam and brivaracetam: a review of evidence from clinical trials and clinical experience. Ther Adv Neurol Disord. 2019


BRVは100-150 mgが頭打ちでしょうか?
LEVからBRVに切り替え
LEVからBRVに急速に切り替えた43例のうち26例 (60%) では, 有効性が向上しなかった.
5例で発作頻度と重症度の両方が悪化.
262例の難治性ではない症例では, BRVの平均1日投与量は175.7 mg.
患者の半数は, 10:1または15:1の比率でLEVからBRVに切り替えた.
6か月時点での発作頻度50%以上改善は40.5%.
発作消失は15.3%.
6か月継続率は75.8%.
以前にLEVによる治療を受けた42例, または一晩でBRVに切り替えた60例の研究.
発作頻度50%以上改善は32.6%.
21.7%で発作頻度増加.
6か月の服薬維持率は80.4%.
てんかん重積状態に対する効果
難治性てんかん重積状態の11例では, BRV静脈内投与により, 27%の症例でてんかん重積状態が停止.
難治性ではないてんかん重積状態では, さらに良好な結果が報告.
2例の欠神てんかん重積では効果なし.
3%以上の頻度で報告された副作用
プラセボよりも高かったのは, 不眠, めまい, 疲労, 傾眠, 嘔気, 下痢, 感冒症状.
1%以上の頻度で報告された精神障害
不眠症 (BRV 4%, プラセボ 2%),
うつ病 (BRV 3.7%, プラセボ 1%),
易怒性 (BRV 3.7%, プラセボ 2%),
不安 (BRV 1.7%, プラセボ 1%),
記憶障害 (BRV 1.7%, プラセボ 1%),
焦燥 (BRV 1%, プラセボ 0%),
抑うつ気分 (BRV 1%, プラセボ 0%).
攻撃性や易怒性などの精神有害事象が原因で, BRVの投与中止が必要になった例が多い.
1214人のうち6.8%に非精神病性行動障害の副作用が発生. プラセボ群4.2%.
この発生率は, LEVを使用した第Ⅲ相試験全体よりも低い.
[Steinhoff BJ, Staack AM. Levetiracetam and brivaracetam: a review of evidence from clinical trials and clinical experience. Ther Adv Neurol Disord. 2019;12:1756286419873518. Published 2019 Sep 9. doi:10.1177/1756286419873518]
【まとめ】
LEVとBRVの比較対照試験はまだないが, BRVの方が忍容性に優れる.
発作に対する優劣はまだ不明だが, BRVに切りかえて発作頻度が改善した報告も割とある.
副作用は不眠, うつ, 易怒性, 焦燥, 不安などだが, プラセボより1-2%多い程度
【おまけ】
LEV 2000 mgで効果がなければ, LEV 3000 mgに増やしてもあまり効果がないなと普段から感じていましたが, この論文で記載されていたtable 1から, その印象は当たっていたかもしれません.
また, LEVの軽度副作用は, 服薬継続とともに解消される報告もありました.

LEVの副作用
無力症/傾眠, 協調運動障害, 行動異常/精神障害の3つの側面に分類.
傾眠 (8.4%, プラセボ 14.8%),
頭痛 (13.4%, プラセボ13.7%),
めまい (4.1%, プラセボ 8.8%).
これらの有害事象は治療開始後1ヶ月以内に発生し, 時間の経過とともに解消され治療中止には至らず.
13.3%が興奮, 敵意, 不安, 無関心, 情緒不安定, 離人症, うつ病など.
プラセボ群は6.2%.
行動上の有害事象は, 成人よりも小児, 青年で多く発症.
小児では37.6%, プラセボ群は18.6%.
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