脳波 (前頭葉てんかん)

Frontal lobe epilepsy. J Clin Neurosci. 2011

前頭葉は場所によって脳波も症候も大きく異なります.

背外側 (dorsolateral), 内側 (mesial), 前頭眼窩 (basal) にわけます.

背外側系 (dorsolateral)
dorsolateralはさらにcentral, premotor, prefrontalにわけられます.

発作間欠期脳波】
背外側前頭葉てんかんの72%で, epileptic zoneとirritative zoneが一致

内側FLEでは33%.
背外側FLEは頭皮電極間の距離が近く, 内側FLEでは双極子が接線方向だから検出されない.

【発作時脳波
65%でepileptic zoneの正確な位置特定ができるが, 26%は全般性で始まり, 3%は側方性が誤る.

EEG 変化が見られなかった発作は, 1.5%とわずか.

発作開始時は,
repetitive epileptiform activity (36%),

rhythmic delta (26%),

EEG suppression (14%),

rhythmic theta activity (9%).

内側系 (mesial)

発作間欠期脳波】
てんかん性異常が豊富に見られるか, まったく見られないかのいずれか.
補足運動野てんかんの約50%は, 正中線 (Fz, Cz) または前頭部 (F4, F3) に焦点.
二次性同期化のてんかん性放電は, 内側FLEに特徴的だが特異的ではない.
rhythmic midline thetaを認めることもある.

発作時脳波】
発作時EEGの50%以上が不明瞭, EEG変化がないこともある.
特徴的な所見として, 高振幅徐波またはmidline sharp wave, 続いて両側前頭中心部に低振幅速波または減衰.

発作性速波 (33%), 減衰 (29%) から始まる.

減衰で始まる場合は, 次第に低振幅速波, 両側前頭中心部もしくは全般性律動性シータ徐波になる.
局在化, 側方化は, わずか25%である.

前頭眼窩 (basal)

発作間欠期および発作期脳波
基本的に, 頭皮上脳波で局在性を検出しにくい.

発作間欠期てんかん性異常が存在する場合, 局所的な分布もしくは, 二次性同期化による全般性になる.
蝶形骨洞記録により側方化できることもある.
伝播したてんかん性活動が, 前頭側頭部に誤って局在したり, 中心部または前頭外側に現れることもある.

頭皮上脳波まで距離があるので, てんかん性異常が広範囲に出現することがある.

右下前頭回のFCD例

右C4, Czで位相反転するsharp wave.

[Beleza P, Pinho J. Frontal lobe epilepsy. J Clin Neurosci. 2011;18(5):593-600. doi:10.1016/j.jocn.2010.08.018]

【まとめ】

前頭葉てんかんの脳波は多様であり, 内側, 前頭眼窩の場合は, 全般性のように広範囲に広がってみえることがある.

特に前頭眼窩の場合は, 頭皮上脳波電極と距離があるので, より全般化した脳波になりやすい.

内側前頭葉てんかんの場合には, 発作時脳波変化が捉えられないこともある.

前頭葉てんかんの場合は, 頭皮上脳波の解釈には注意が必要です.

前頭葉てんかん症候の記事はこちら

脳波 (全般性と二次性同期化) の記事はこちら

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